Toppageへ
 No.252

三輪 薫(みわ かおる)


No.252 『写す』/銀塩写真とデジタル写真の行く末 2005/1/9

銀塩写真はゆっくり進化を続けてきたが、デジタル写真は実に凄まじい勢いで日々進化を遂げている。デジタルカメラの画素数も多くなり、もしかしたらここ数年で銀塩を追い抜いてしまうかも知れないと思っていたものが現実になるだろう。

現在の写真業界では、デジタル、デジタルと言われ、銀塩用の素晴らしい印画紙や黒白用フイルムの製造中止になる銘柄も増え続け、銀塩プリントのプロラボにも厳しい時代となっている。しかし、それに代わるレベルでのデジタルプロラボが多く開業されているわけではなく、銀塩の印画紙で出力するラムダの機器を備えたラボもそれほど多くはない。

インクジェットプリンタで出力するプロラボは、作品主義のエプソンですら認定ラボは全国で3箇所しかないし、プリンタの販売高でエプソンを追い抜いたキヤノンには認定ラボシステムすら用意されていない。安心してデジタル作品の出力を依頼できるラボは、一体どれくらいあるのだろうか。現在のデジタルプロラボ事情は、デジタル写真の進化に追いついていない実にアンバランスな状況になっているような気がする。デジタルプロラボが確立されない内に、長年培ってきた銀塩のプロラボ集団が淘汰されてしまうのは寂しい限りだ。

しかし、インクジェットプリンタによるデジタルプリントはメディア(用紙)の選択の幅が広くなり、表現の可能性が大きくなってきたのは確かだ。現在でもアナログ写真への拘りを持つ僕だが、デジタル写真の可能性を認め、魅力も感じている。だからこそ、フイルムをスキャンしたりデジタルカメラで撮影した作品での個展を昨年から今年に掛けて3回も開催し、デジタル時代の到来を喜んでいる。僕がデジタルで行っている作品創りの全ては銀塩のコピーではなく、銀塩ペーパーでは再現不可能な和紙をメディアに選んだデジタルならではの手法によるものだ。今年は和紙だけではなく、画材紙も試してみようと思っている。

戻る