Toppageへ
 No.255

三輪 薫(みわ かおる)


No.255 

デジタル写真は便利なようだが、カメラの進化が激しく次々と新機種を追い続けなければならず、パソコンなどの周辺機器やソフトも時代の進化に合わせるように揃え続けるのも大変なことである。

また、リバーサルフイルムでの撮影では現像後の整理や処理なども簡単である。しかし、デジタル写真の場合は出先での滞在日数が長いと現地でコピーを作り、帰宅後にはパソコンに取り込んだりと莫大な時間を要することになる。一昨年だったか、あるカメラ誌のデジタル写真の企画ものに登場したことがある。数人登場の内の一人の方がデジタルに移行していて、一日撮影した後は処理に二日費やしていると書いてあった。それくらいの撮影量では銀塩なら多くても数時間で済む。

また心配なのがCD/DVD/ディスクなどに保存したデータが何時までもつのかである。また、ビデオがテープからデジタルに移行したように、保存形態も時代の進化で変化する。この時の書き換えも実に大変だろう。

プリントの自家処理をしない者はプロラボに依頼することになる。しかし、デジタルではこれまでの銀塩プロラボと同様の高いレベルでのデジタルラボも多くは揃っていないようだし、価格的にもデジタルプリントのほうが高い。出来上がったプリントも、今までの銀塩プリントの仕上がりに比べ、まだまだ同等とは思えない。自らインクジェットプリンタで行おうとすると、撮影後の整理の時間どころではないほどに束縛されてしまうし、数年から5年くらいしか使う気にならないだろう大型プリンタの置く場所や買い換えを考えるだけでぞっとしてくる。そこそこにあるスペースだと思っていた仕事場も、今や大型プリンタを始めとするデジタル機器が並び、はみ出した機器は居間をも占拠している。

僕がデジタルで行っている和紙プリントの個展など、一流のデジタルラボに依頼すると銀塩の数倍どころでは済まない金額になる。もう、理想をプロラボに求めたデジタルプリントでの個展は、個人的に開催するのは夢のような時代になっている。得るところも大きなデジタル世界であるが、大変な負担を強いられる世の中になってきたものだ。

戻る