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 No.257

三輪 薫(みわ かおる)


No.257 『写す』/ハイキー写真 2005/3/30

今月の上旬にコダックフォトサロンで開催していたフォト「悠」展は、日本の自然風景や花などを展示していたが、来場者の中には「この様なハイキー写真は分からない」と言っていた人がいたようだ。

明るめに見える作品を展示していると、よくこの様な感想を聞く。しかし、霧が出ている情景など見たままに再現するには、当然のことながら画面全体が明るくなる。また、曇り日などで水面に映り込む淡い色の被写体も同様である。明るい色合いの写真と、ハイキー調の写真とは違うのだ。

リバーサルフィルムとダイレクトプリントが支持され、愛用者が増えるに付け、世の中の写真が以前にも増して色濃いものが増えてきたような気がする。僕が本格的に写真を始めた頃には、露出値はマイナス補正で撮るようにと先輩から言われていたものだ。見たまま、感じたままに再現するのではなく、とにかくアンダー気味に撮るという方法が主流になっているのかも知れない。このやり方は、現在も同じなのだろう。

フイルムやペーパーの再現性が高くなり、レンズの性能もよくなっている現在では、ハイライト側もシャドウ側もグラデーションは以前よりも格段にきれいに出てくる。しかし、相変わらず見たままよりも色濃く写すことが当たり前なのだろうか。だからか、見たままに写して再現すると巷に多く見られる写真よりも明るいため、ハイキー写真と勘違いしてしまうのかも知れない。

ドラマチックな表現をするには、光や色のコントラストを高くした方がより印象的な作品に感じるのは確かである。フォトコンテストなどでは、この様な撮り方をした作品が目立つ。しかし、写真展などでは、会場に佇んでいて、心が安まり、気持ちよく感じるのはこの様な作品ではなく、色合いも優しく、光のコントラストも高くないものと思うが如何だろうか。僕は、この様な自然な描写での作風の作品が好きである。

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