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 No.262

三輪 薫(みわ かおる)


No.262 『写す』/EOS kiss Digital N 2005/5/22

先月、EOS kiss Digital Nでの撮り下ろしを依頼され、10日ほど撮影の旅に出た。日本カメラ社から6月16日に発売のMOOK版の口絵とハウツー掲載のためだった。使用感はとてもよく、内蔵のスペックはEOS 20Dとほぼ同様でミラーアップもでき、色温度のケルビン設定ができない程度の差しかない。安価な割には優れた機構を多く備えている。

本体やレンズ自体が軽量なので、ブレを極力防ぎたい三脚使用の撮影でも、軽量タイプでも大丈夫のような気がした。ご年輩の方には嬉しいカメラの登場である。このカメラは気軽に撮ることができ、花のアップは勿論のこと、EOS 10Dや1Vなどでは絶対三脚使用という場面でも、結構手持ちで撮った。フットワークが自由なだけだけに三脚使用とは一味違う描写が生まれたような気がする。

GW中には先月製造中止宣言をしたコンタックスに関する特集記事の原稿を依頼されて書いていただけに、実に複雑な思いだ。 EOS kiss Digital Nは800万画素でありながらも10万円を切る価格。CONTAX N DIGITAL はフルサイズながら600万画素で、定価80万円が半値以下となったとは言え、魅力のツァイスレンズを使えても到底太刀打ちできるカメラではなくなってしまった。進化と価格破壊が激しいデジタルカメラと承知していても、まことに厳しい現実を見せられた思いをしている。

今回試写の実に安価で超軽量・コンパクトな専用レンズ2本セットでの撮影結果は、殊の外自分でも気に入った作品が多く撮れた。短期間での撮り下ろしにも何とか対応でき、15日から開催の伊勢和紙ギャラリー開館記念展での新作にも、全倍6点、小作品を15点ほどセレクトしたくらいだ。長年撮り続けてきた花や自然風景の世界に、新たな作風が生まれて来たような気がする。手軽に撮影を楽しむことができるこのカメラは、この専用レンズを2本セットにしても EOS 20D 1台分でお釣りが来る嬉しい価格。実に安価なレンズながら、作画目的次第では十分作品創りに応用できる頼もしいレンズなのだ。デジタルカメラが短命とは言え、一般の実用には、もうこの辺りで充分と思わせるビックリ仰天のカメラとレンズの登場である。

EOS D30/D60/10Dと買い続け20Dはパスしたが、価格と手軽さには勝てず、長年活用されずにいたEF600mmF4を売ってしまった代わりにこのカメラをレンズ2本セットで買ってしまった。

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