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 No.265

三輪 薫(みわ かおる)


No.265 『写す』/夢と消えた「コンタックスRTSデジタル」 2005/6/18

京セラ(株)に最後まで要望を出し続け、期待を掛けていたカメラがある。「コンタックスRTS Digital」。RTS シリーズの全ツァイスレンズの装着が可能なデジタル一眼レフカメラだ。巷ではEOS Digital 一眼レフにこれらのレンズを装着して愛用している人もいるようだ。ツァイスレンズの描写力は、デジタルと言えども魅力は大きく、写りの違いを知っているからだろう。CONTAX 645 にはコダックから発売のデジタルバックが使え、ツァイスレンズの醍醐味を体感できて評判もよいようだが、いまだ試してはいない。

コンタックス N Digital ではなく、「コンタックスRTS デジタル」を先に発売していれば、コンタックス N Digital ももっと違った機構と80万円よりも安価に登場し、多くのプロや愛好家にも受け入れられたかも知れない。Gシリーズのレンズは優れものだがヘリコイドがなく、何故なくしてしまったのかと聞いたことがある。この先ボディーが壊れ、修理不能になってしまったら無用のレンズになってしまうだろう。ヘリコイドさえあれば、他社のカメラへの装着の可能性も残されたと思うので、実に残念だ。しかし、この時の教訓がCONTAX 645 や N1に生かされたのだろう。これらは実に使いやすいAFカメラとなっている。

京セラには数々の要望を出し続け、僕の意見も参考にされたものもある。しかし、新製品のカメラを見せられる頃には、新たな意見や要望を受け入れるには、開発はもう手遅れ状態のことが大半だった。発売前に見るたびに思うことは、何故、もっと早く意見を聞いてくれなかったのかということだ。勿論、企業秘密も多くあるだろうから仕方がないとは思う。しかし、僕らのような写し手側のほうが、使いやすく買いたいカメラがどのようなものかを理解しているのではないだろうか。

「コンタックスRTS デジタル」の発売の要望を続けていてもよい感触が得らず、昨年暮れに遂にEOS Digital へのレンズアダプターを買ってしまった。しかし、この組み合わせは見た目のバランスがよくなく、美しくない。よい道具(機材)とは、美しくなければならないと思っている。他の人のを借りて一度だけ試写したが、自分のレンズではいまだ試してはいない。

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