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 No.269

三輪 薫(みわ かおる)


No.269 『車』/乗っていて楽しい車 2005/7/24

「わの会」の撮影会などの現地集合で多くの人が集うと、様々な車に出合う。ボルボV70クロスカントリーやスバルレガシーなどのステーションワゴン、ランクルやパジェロなどのジープタイプや1ボックスカーなどの多様な4WD車がズラリと並んで壮観である。中にはポルシェ911カレラや超高級な乗用車もあり、驚く。

車を見ると乗り手の人柄や性格や趣味性を垣間見られて面白い。特に、車好きの人が乗る車種には興味が湧く。自然風景を撮っている方の車には、改造とまではゆかなくとも、自分なりの工夫をしてその人なりのスタイルを示していることが多い。車を撮影用の道具として考えているからだろう。僕は、車は移動の道具であり、大きなカメラバッグと考えている。

僕も車は大好きで、自然風景を撮り始めて間もない頃、何台も乗り継いできた三菱の乗用車から中古車だが1ボックスタイプのデリカスターワゴン2WDに乗り換えた。長さ4mと小型ではあったが、室内はもっと大きな乗用車などと比べても随分広々として、後席2列のイスを倒すと、割とフラットになり、寝るにも快適だった。フリーになった頃には、2ドアの乗用車でも何とか工夫して車内で眠っていたのだから、天国のような気分だった。

その内、デリカに4WDタイプが発売され、撮影用に改造して乗ろうと4ナンバーの5ドアタイプを購入し、専門ショップに頼んで8ナンバーのキャンピングカーに改造した。しかし、撮影用での使い勝手が思わしくなく、1ヶ月ほど掛けて自分なりに作り替えた。屋根に上って撮影できるよう、ハイポジションを得るためにハイルーフ用のルーフキャリアも装着した。この車は低馬力で、高速道路の登坂車線ではシフトダウンしてアクセルを一杯に踏み込んでも70kmくらいしか出ず、軽自動車に軽々と追い抜かれていた。

この4WD1ボックスカーも4mとコンパクトだったが、後席全てをフルフラットなベッドスペースにした。硬めのウレタンで作ったベッドの寝心地は、自宅のベッドよりも快適とさえ思われたほどだった。ベッドの下は全て収納スペースに充て、従兄弟からもらった30Lほどの冷蔵庫も積んでいた。乗っていても撮影地で生活していても実に楽しかった。

車で寝泊まりしているとよいことも多い。早朝の撮影地に駐車して泊まれる場合には、移動時間もなく、即撮影できるので楽だ。また、夜明け頃には鳥のさえずりが目覚まし時計の替わりになってくれる。晴天時には満天の星を眺め、冷蔵庫で冷やしたビールを飲みながら星の軌跡を撮影していた。朝には澄んだ冷気を味わい、珈琲をたてながら撮影していると周りの空気にコーヒーの香りが広がってくる。毎日が至福の時だった。

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