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 No.276

三輪 薫(みわ かおる)


No.276 『写す』/プリント仕上げの重要性 2005/9/17

先月、常任講師の都合が合わなくなったからとの理由で、「わの会」会員が支部長を務めるクラブの例会の臨時講師を頼まれた。この例会では驚いたことがあった。長年プロの指導を受けていても、プリントへのアドバイスや、作画と表現に於けるプリント指示を受けたことがないと言われたことである。

現在の写真界ではデジタルに移行しているが、まだまだ写真愛好家もリバーサルフィルムを常用している人が大半である。撮影条件によっては、このポジフィルムに映し込まれた世界が全てではなく、トーンやグラデーションなどをプリント時に調整してこそレベルの高い作品になることが多い。と、言うよりも、大半がそうだと思っている。僕の最高のオリジナル作品は、ポジではなくプリント作品であると考えているのと同じだと思っている。

ましてや、その辺りのことには、まだまだ不勉強な愛好家の方々のプリント作品には、多くの問題点を抱えていることが多い気がする。なのに、どうして長年アドバイスを行ってこなかったのか疑問に感じた。プロの常任講師が何も指摘しなければ、クラブの人達はそれでよいと勘違いしても不思議ではない。

写真界もデジタル時代を迎え、銀塩のプロラボ事情も悪化の一途を辿っているような気がする。先日も、あるクラブの幹事の方に、僕が例会で指示したり、指摘したような仕上がりには現在のラボでは対応してくれなくなってきたと聞いた。僕が皆さんにお勧めしている数社のラボの話しだっただけに驚いた。応えてくれるのは、僕が監修し、プリントチェックを直々に行う写真展のときだけだと言っていた。これが本当なら、銀塩のプロラボは益々衰退するのではないだろうか。

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