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 No.279

三輪 薫(みわ かおる)


No.279 『車』/車は何を優先して選択するか 2005/10/15

自然風景の撮影では4WD車に越したことはない。以前、VW T-4 の師匠が見つけてくれたショップの VW 4WD車は、何故か倉庫で8年も眠っていたと言うにもかかわらず、諸経費込みで600万円の見積もり。しかもキャンピングカーとしての仕様の出来は今回購入のウエストファリア製と比べると随分見劣りした。稼ぎがおぼつかない僕には大変な金額で、魅力の4WD車であるが諦めた。

まず、前輪駆動のT-4に乗ってみて、取り敢えず自然の中で過ごし、自然との一体感を味わい、楽しみながら撮影したいと思い決断した。しかし、超中古車ゆえのトラブルが、納車日の明くる日に早速到来した。車に乗り込んだら何か変だった。ルームミラーがなく、床に落ちていた。VW のルームミラーは、乗用車でもフロントガラスに接着剤で止めてある。13年も経って、太陽光に長年晒されて接着力が弱ってしまったのだろうか。しかし、幸いにも購入したショップが近くで、連絡したら即対応してくれ、修理が完了した。遠くのショップで多少安価だと言って購入していたら、自己責任で直さなければならなかったかも知れない。ここにも、師匠のアドバイスが生きた。

最大の問題は、20年余り4WD車を乗り続けてきた僕が、来年の冬にトラブルなく撮影を敢行できるかどうかである。年々、ハードな撮影行をしなくなってきたとは言え、万が一の場合には、4WDと言うだけでも安心感が高い。このような経験は随分多くしている。しかし、今回の選択は長年の夢を叶えることと初心に戻りたい気持ちを優先にしているため、多少のことには目をつぶることにした。

どうしようもないことが頻繁に起きたら、その時に考えればよいと判断したのだ。実際、4WD車を20年乗ってきても、四駆で走るのは積雪やアイスバーン、大雨の高速道路のが多く、大半は2WDで走っている。T-4 は前輪駆動なので、スタッドレスタイヤを履き、時にはちょっと面倒だがチェーンを巻けば何とかなるかも知れないと思っている。

以前、トヨタのスポーツカー 2000GT の所有者は、半年くらいはメンテナンスのため工場に預けてある、いや、預けざるを得ないようだとの記事を読んだことがある。大半の人はこのような車は諦めて他の車に乗り換えてしまうだろうが、乗り換えないで乗り続ける魅力があるのだろう。やっと手に入れたVW T-4だが、この車にも、どうやら同じような魅力が秘めているようだ。

今回、欧州攻略を計る日本の車メーカーのディーゼルエンジンは、黒煙を吐きまくる粗悪なエンジンとは思えない。素晴らしいディーゼルエンジンを開発しているベンツのお膝元での攻略であるからだ。ディーゼルエンジンは故障も少なく、トルクもあり、低燃費であり、ハイブリッド車よりも安価である。ガソリンが高騰している今、ガソリンよりもディーゼルのほうが歓迎されるべきであるはずだ。環境に、人や動物にも優しい優れたディーゼルエンジン搭載車の開発と発売を期待したい。

何故、欧州限定で販売し、国内では売らないのか、実に不思議であり、企業姿勢を疑ってしまうのは僕だけではないだろう。知識がなく、発言力のある政治家などの見解に振り回されることなく、自然環境に優しい車を開発するよう、メーカーに働きかけることこそ、政府や政治家の務めと思う。

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