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 No.284

三輪 薫(みわ かおる)


No.284 『生きる』/適正価格-2 2005/12/25

昔から「安物買いの銭失い」と言われている。良いものには、それなりの適正価格があるものである。子供が小さかった頃にキャンプを始めたのだが、取り敢えずは大半の道具や用具をと予算の関係で安物を揃えざるを得なかった。しかし、結局大半処分する羽目になってしまった。やはり、安物は安物でしかなく、遊び道具と言えども見かけだけで用はなさなかった。結局買い換える羽目になり、逆に高く付いたことを覚えている。撮影機材も同様で、同じ予算なら良いものを少なく買い、少しずつ増やして行くほうが長く使うには後で後悔しない。良いものは愛着も湧き、長持ちするので得である。

100円ショップなどに置かれている商品価格には驚くものもあるが、製造元を考えると、そのビックリ価格でも適正どころか高額商品があるかも知れない。しかし、日本の零細な製造元や商店などが、大手の販売店や人件費の超安価な国で製造して稼いでいる同じ日本人に虐められているのも確かである。買う方も誠実な心を抱いて臨むと買い物も難しい。

さて、7月に購入の VW T-4 キャンパーだが、13年落ちとは言え国産の小型車が買えるほどの価格だった。この車の販売価格が新車では600万円を超えるらしいから仕方がないかも知れない。しかし、普通10年も経ったらタダ同然であるが、この車は日本には数百台しか入っていなく、希少価値もある。だからか、ショップに並んだ車の全てが年式の割にはビックリの価格設定になっている。それでもボチボチと売れているのだから、この車の価値を認める人もいる。

興味のない者には、とんでもない価格に思えても、捜し捜した挙げ句に見つけた者には、安価とは思えなくても、買おうと思ってしまう適正価格なのかも知れない。所有し、運転し、車と共に過ごす至福の時間を考えると、付加価値を感じるからだろう。

このようなものは世の中にはいっぱいある。絵画などバブル期には数十億円もしたものが、弾けた途端にビックリ仰天の値下がりをした。価値観の違いも経済の変動とともに変わってくる。面白いものである。バブル期といえば、家やマンションもローン金利も同様である。何故あんなに高額だったのか、今から思いだしても恐ろしく、今ではローンが重くのし掛かっている。現在では当時の半額近いだろう。いやになってしまう。

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