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 No.285

三輪 薫(みわ かおる)


No.285 『生きる』/慌ただしい人生 2005/12/30

今年も後1日。歳を重ねるに従って、今年は一体何をして過ぎてしまったのかと感じることが多くなってくる。つまり、近い記憶が乏しくなってくるのだ。しかし、スケジュール表などを見ていると、いろいろなことをしながら過ぎていったことが確認できる。

僕の肝心な仕事である作品創りも、今年は年明けに有楽町駅前の東京交通会館7Fに移転した「京セラ・コンタックスサロン東京」の記念写真展を3月に開催した。2003年7月にエプソンピエゾグラフギャラリー京都で始まった「風香」展の3回目の開催だった。この和紙によるデジタルプリント展開催への道のりは長く、実に数十年掛かり、感慨も一塩のものだ。「カメラで和紙に描く作風」の、和紙にプリントした個展開催を長年求め、研究してきたが、やっと実現したのだ。僕のデジタルプリントのメインメディアである伊勢和紙の大豐和紙工業(株)が5月にギャラリーを開館し、こけら落としの展覧会として個展を開催した。「風香」展の大半と「風色-II」展の一部の作品を展示し、新作も多く展示した。これがデジタルプリント展としては4回目で、自分で言うのもおかしなことだが、何度見ても飽きがこない作品と思っている。

今年は、主宰する「わの会」やフォトワークショップ「風」のメンバーの個展も相次ぎ、多くのグループ展も監修して、来場者の共感を多く得られたのは嬉しい。自分の作品ではないものを監修して好評を得るのは難しいものだが、幸いにしてよい結果となったのだから言うことはない。これらの監修は大変で、責任も重大であるが、楽しいことでもある。ドラマの演出家か楽団の指揮者の気分を味わえる喜びや醍醐味があるからだ。

撮影日数も、撮影会やツアーなどを含めてだが、120日余りになり、ホッとしている。勤め人の方達と違って決まった休日などのぞめない生活振りだが、撮影日数の目標を月に最低10日と定めている。今年も何とかクリアーでき、満足しなければならないだろう。

写真界もデジタル化を迎え、益々充実した機器の登場が相次ぎ、5月に EOS kissDigital N を、11月にEOS 5D を購入。そのためか、今年の小型カメラでの撮影はデジタルが多くなっている。フルサイズのEOS 5D は広角から望遠系の撮影で、EOSkiss Digital N では超望遠系や花などのクローズアップ、スナップショットの撮影に重宝している。しかし、カメラだけではなく、パソコンなどの周辺機器も増える一方で、デジタルフォトに表現の可能性を見出すのも大変なことである。

銀塩写真にもまだまだ多くの魅力を抱いていて、表現の可能性や安心感も高い。来年9月には、長年取り組み4年ごとに開催している、黒白のファインプリントによる4回目の個展を開催する予定である。今回は、少数になるだろうが2003年の「風香」展で試してみた和紙プリントの完成度を上げ、展示したいと考えている。

振り返れば慌ただしく過ぎ去った一年だが、それなりの成果と収穫のあった年と言えるだろう。「わの会」の人達も含め、人とのお付き合いも楽しく、新たな出会いも多くあった。さて、来年は僕にとってどのような年になるのだろうか。楽しみである。

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