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 No.293

三輪 薫(みわ かおる)


No.293 『写す』/アナログ写真の再評価 2006/3/21

デジタル時代を迎えた現在では、カメラ店に行ってもフィイルムカメラは目立つところには置いていない。デジタルカメラばかりが目に付く。世界最高峰のレンズであるZEISSを使うCONTAXも昨年京セラがカメラの製造や販売から撤退して新製品はもう見ることができない。ニコンですら一部の機種しか残さない状態になっている。写真界はデジタル、デジタルと騒ぎ、もう、銀塩写真などお呼びではないような有り様にさえ感じる。

デジタルにはデジタルならではのよさがあり、僕も認め、作品創りに活用し、4回開催したデジタルプリント展の2回はデジタルカメラで撮ったものだ。しかし、写真界全体がデジタルに向かったり、評価をしているわけではないと思う。今年一年、日本フォトコンテスト誌でリバーサルフィルムの2ページ掲載の連載を担当している。「三輪薫流、リバーサルフイルム活用術」である。4月号では、リニーアルされたPROVIA400Xで撮り下ろした花の写真を掲載した。また、別なカメラ誌からフィルムカメラの特集記事を依頼された。京セラやコニカミノルタなどのカメラ事業の撤退などが続いているが、まだフィルムカメラも販売され、多くのプロや愛好家もまだまだフィルムカメラを愛用しているはずだ。フィルムカメラの販売を続けいるメーカーを応援したいといううれしい企画だった。

デジタルカメラが進化し続け、安価になってきても毎年買い続けるのも大変なことである。ましてや、現在市販の中判カメラのデジタルは、車一台軽く買えるくらい高額で、一台欲しいと思っても手が出ない。現在、小型カメラでの撮影はデジタルが増えてきたが、並行撮りしている中判カメラとは、撮影時の緊張感や手応えと心の充実感などが全く違う。映画でもフィルムに拘る監督がいるのも頷ける。消費する写真にはデジタルが便利でよいだろうが、生きた証を写し込むには銀塩フィルムのほうが感情移入しやすいと思う。まだまだフィルムカメラへの魅力は尽きない。

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