Toppageへ
 No.297

三輪 薫(みわ かおる)


No.297 『写す』/デジタルとフィルム 2006/5/13

今年の年頭に何年振りかで風邪をこじらせ、結局2月末までに撮影できたのは8日のみの有り様だった。おとなしくしていたお陰か体調も回復し、3月4月はそれぞれに半月以上もシャッターを切っていた。結果、月平均10日撮影の目標も軽く帳尻を合わせられた。

今年の気象は例年よりもおかしく、厳冬期の2月にやたら暖かい日が続いたり、開花が早かった桜も途中で寒くなって長々と楽しめた。新芽や新緑も同じで、こんなにもゆっくりと眺められたのは逆に嬉しいことだった。

梅や桜の撮影にもデジタルカメラは便利であり、フィルムでは得られなかった色合いも引き出せ、新たなイメージがわき出てくる。その場でカメラの液晶画面を確かめながら撮影できるので、フィルムの選択も長年の勘に頼らずにできるのも嬉しいことだ。

EOS 5D を入手以来、小型カメラでの撮影量はデジタルのほうが多くなってきたが、ここに来て、また重きをフィルムに戻している。実質の撮影枚数は多分デジタルのほうが多いかも知れないが、中判なども併せて撮り、モノクロも並行撮りしているので、結果としての撮影枚数はフィルムのほうが多くなっている。まずデジタルで撮影し、これはと思うカットには、表現目的によって小型カメラでカラーを2種のフィルムで、中判で2種のカラーフィルムと2種のモノクロフィルムに収めている。

フィルム撮影からするとデジタルはポラロイド的な撮影でもあるが、決して手抜きをして撮っているのではない。心の注ぎ方は、全て同じである。巷では、モノクロこそデジタルのほうが素晴らしいという見解もあるようだが、僕はそのようには考えていない。カラーもモノクロもデジタルとフィルムでは全く別物だからである。同じ土俵で考えるからこそ、デジタルの可能性が高かったり便利だからと、いとも簡単にフィルムを捨て去っている人が多いのだと思っている。共にうまく使い分けてこそ、今の時代に生きて写真を撮る喜びがより大きくなり、表現の可能性も高くなる。

戻る