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 No.298

三輪 薫(みわ かおる)


No.298 『写す』/デジタルカメラでの片手撮り 2006/5/19

花の撮影のため、キヤノンEF50mmF1.8を入手して久しい。以来、デジタルカメラでも撮影を楽しんでいる。フルサイズ以外のボディーでは、このレンズはフルサイズ換算で80mmになり、とても使いやすい。何より嬉しいのは、販売価格が1万円を切って入手できることだ。しかも、開放F値がマクロレンズに比べ1段以上も明るく、そのためにぼけ味も比較にならないくらい滑らかできれいである。

1985年にペンタックスフォーラムで花の個展を開催したときには、マクロレンズを50・100・200mmと3本も持っていた。しかし、50点近く展示した作品の中でマクロレンズで撮ったのは数点だけだったような気がする。大半が85mmや100mm、ズームレンズを多用していた。これらのレンズに接写リングやクローズアップレンズを、時にはベローズを組み合わせて撮っていた。

理由は簡単である。滑らかで美しいぼけ味やグラデーション再現を求めていたからである。マクロレンズはクローズアップで撮るには、とても使いやすい。しかし、描写がきつくて好きになれなかった。その気持ちは進化した現在のレンズでも余り変わらない。

花のクローズアップには手持ち撮影が原則で、撮影倍率が高くなるとアングルやポジションが数ミリ違うだけでも随分表情が変わってくる。時には風が吹く中での撮影になり、花などが揺れ、デジタルカメラで撮影感度を上げても無理な場合もある。このようなときには左手で被写体を軽くつかみ、右手でカメラを持ってシャッターを切る。開放絞値では被写界深度もごく僅かで、職人芸的なテクニックも必要だが、だからこそ撮っていても楽しく満足感も高い。

重い機材では、細腕の僕には支えられない。EOS kiss Digital Nとの組み合わせは最高だが、フルサイズでないだけに深度も深くなって開放F値のぼけ味を活かせない。その点、フルサイズのEOS 5Dとの組み合わせは、適度な重量が安定感を生み、開放F値のぼけ味も活かすことが出来る。と言う理由で、EOS 5Dの入手時にEF85mmF1.8も購入した。

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