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 No.302

三輪 薫(みわ かおる)


No.302 『自然』/国立公園の有料化と山小屋の功罪 2006/7/6

海外の国立公園には園内に立ち入るには入場料が必要なところも多い。しかし、日本では尾瀬にしても無料である。かなり以前に有料化の話が持ち上がったようだが、反対意見が多かったとかで、いまだに実現には至っていない。

僕は有料化には賛成である。素晴らしい自然を満喫し、大切な自然を守るためにはそれなりの対価を支払うのは当然のことと思うからだ。今の世の中、自然を自然らしく保つには、それなりの経費も必要である。日本には世界に誇ることができる素晴らしい自然が国中に溢れている。そのような場所には立派なホテルや山小屋もあり、泊まりがけで安心して訪れることができるよさもある。

しかし、その便利さのために多くの人が押し寄せ、結果として自然を破壊することにもつながっている。山小屋など本来は避難小屋であったはずで、風呂があったり、中には街のホテル並に近い部屋があったり、フランス料理を出すという馬鹿げた山小屋もあるとの話を聞いたこともある。勿論、僕も汗をかく夏などに風呂付きの山小屋に泊まった時には入ったことがある。しかし、あるから入っただけの話である。

年間に訪れる人が多い山小屋では、シーズンともなると金庫には日々札束が溢れているという話も聞いたことがある。いまや山小屋は本来の避難小屋ではなく、儲けをたくらむ営利主義のものになってしまった処も多いのだろうか。立ち食い蕎麦店よりも不味いものを、山小屋とは言えかなりの値段で販売しているところも結構ある。以前時々泊まっていた小屋では、宿泊客にはとてもひどいものを出し、小屋の住人達はご馳走を食べている姿を見てしまった。少なくとも自分たちが食べるものと同等のものを出すべきではないだろうか。それが嫌なら、食事は全て自炊にするシステムにしたらよいと思う。

山小屋は命を守ることに専念し、営利主義の方針は止めさせるべきだと思っている。訪れる人もそれなりの覚悟と用意ができる人に限ってもよいのではないだろうか。営利主義になっているからこそ、山小屋自体が自然破壊に手を貸す悪徳な行為に走ってしまう事件も起きる。このような山小屋は、即刻営業許可取り消しにすべきだが、ほとぼりが冷めたら知らん顔で営業できる不思議な国である。これを歓迎している筆頭は経営者であるのも嘆かわしい。良心があれば営利目的をやめ、本来の山小屋の姿に戻すべきだろう。

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