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 No.319

三輪 薫(みわ かおる)


No.319 『生きる』/年の瀬に思うこと 2006/12/31

今年も、とうとう後1日を切ってしまったが、22-24日の裏磐梯高原に引き続き、26-29日と九州/佐世保の九十九島・平戸・生月に撮影に行ってきた。数年前から地元の方のお誘いを受けていたのだが、今回やっと実現した。出掛ける朝の東京は結構な雨で、長崎空港に着いたときも、どんより。天気予報も下り坂だったが、何と午後から晴れだし、初日の九十九島の夕景はとてもきれいだった。

案内してくれた方が撮影スポットの展望台が混雑するからと早めに行って夕景撮影の準備をした。しかし、いつものように、ほぼ徹夜明けで出掛けたため、ベンチに寝そべって昼寝を。いや、寝不足がたたって、どうも騒音を奏でながらの熟睡だったようだ。何となく回りがざわざわとしている感じで目覚めた途端、視野に入ったのが大きなビデオカメラと見知らぬお兄様方で、地元のテレビ局の取材だった。いきなりマイクを向けられて質問攻め。何処から?「わの会」とは?、、、。寝ぼけ眼、いや頭で答えたものの、何故レポーターの方が「わの会」を知っているのかと思案するまもなく、今回お誘いした佐賀と熊本の「わの会」会員の方々が面白そうに眺めている姿も視野に入ってきた。どうやら、僕よりも先に質問攻めにあったこれらの人達が「わの会」のメンバーだと話し、「わの会」を宣伝してくれていたようだった。

明くる朝、朝食前に妻がスイッチを入れたテレビの放映が上記のテレビ局で、先の取材を延々と放映。何とベンチで寝ている姿もバッチリと映し出されていた。参ったなーの心境で自分の姿と話しぶりを眺めていたのだが、いやはや、早口で我ながらビックリ。自分では現在は以前に比べゆっくり話しているものだと思い込んでいたのだが、来年こそ心して話さなければと反省した。講師を始めた頃、「三輪さん、ギャラは同じなのだから、そんなに多く話さなくてもいいよ。2回に分けたら、ギャラも倍になるんだから」などと言われたのを思い出したものだった。しかし、このような地元のテレビ局の番組は結構見ているようで、九十九島の遊覧船乗り場に行ったら、おばさま達が声を掛けてくれた。ずっと前だが、シンガポールに講演に行った折り、告知が顔写真入りで新聞に掲載されていて、街でいろいろな方に声を掛けられたのも懐かしい思い出となっている。

生月ではもの凄い風で、時には海水も巻き上げるような下から吹く強風だった。三脚を立ててもグラグラしていた。細身の躰が吹き飛ばされそうになりながらも、両足を踏ん張って何とか手持ちで撮影していた。このような条件ではデジタルカメラは実に有利で、ISO 800 くらいにセットして、ブレ防止機構内蔵のEF28-135mmで何とかぶれないで撮れた。今回は悪天候を覚悟していたのだが、先日の裏磐梯高原同様に、上手く撮影運を引き寄せることが出来、晴れ・曇り・雨・雪やあられと全天候での撮影を行えた。妻が展望のよいホテルをネットで探してくれたお陰で、ベランダから街の夜景や、朝夕の海を撮ることも出来た。

今回は自然風景だけではなく、平戸・紐差のカトリック教会や、帰りに寄った長崎の大浦天主堂(外観)も撮ってきた。紐差のカトリック教会は、案内してくれた方が撮影許可を得てくれ、信者の方も二人来て頂いた。勿論レンズはアオリ内蔵の TS-E 24mm がメイン。造形写真も好きな僕には、洋風の民家や、生月のフォトジェニックな建物のラーメン店なども絶好の被写体になった。

帰りの長崎空港には早めに着き、写真学校に勤めていた頃の卒業生の方が、福岡市に近い三瀬村から往復4時間かけて会いに来てくれ、久し振りに二時間ほど楽しく話し込むことがでた。これも嬉しいことである。2002年に福岡キヤノンサロンで「風色」展を開催したときには、夜半過ぎまで二人で飲み明かしていたのが懐かしい。歳や立場は関係なく、心を許せる人と話し、飲むのは楽しいものだ。

今年の撮影日の合計を調べたら、目標にしている月に10日には少し足らない一月平均9日の108日だった。正月明け早々「九寨溝と黄龍撮影ツアー写真展」が始まり、個展開催と「わの会」展もあったのを考慮すると、まずまずの日程を撮影に充てることが出来たかも知れないと思っている。しかし、昨年に撮影用にと購入の VW T-4 の出番が余りなく、現在15年目を迎えるこの車は、何かとドッグ入りが多く、たまに帰宅する息子に、車庫にあるはずの車がなく、「T-4、どうしたの?」と聞かれることしばしば。しかし、何故か愛着や魅力が益々大きくなるばかりだからから面白い。先日も遂にエアコンがダウンし、交換部品の大半を T-4 の師匠にお願いしてドイツから取り寄せ、3ヶ月掛かると言われた修理を1ヶ月で完了した。やれやれ。

現在、溜まってしまったデジタル撮影の画像保存に追われている。デジタルは便利だが、撮影後には随分時間を取られて困っている。撮影時には「EPSON Photo Fine Player P-4000」に保存し、帰宅後には PC に取り込み、外付けのHDD/2個に保存。その後に、仕事をしながら DVD-R/2枚に取り込んでいる。これらの作業や後々の作品検索を考えると、スリーブで簡単に保存や検索ができるフィルムでの撮影が最もふさわしいと思ってしまう。EOS 5D を購入以来、小型カメラの撮影はデジタルが主流になっているが、中判カメラでしっかりカラーとモノクロフィルムで撮り続けている。まだまだ、10数年は撮り続けたいので、進化する一方のデジタルで撮ることの心配は尽きない。デジタルだけで撮っていると、きっと後悔する時が来ると思い、両者を適度に使いこなすことがこれからのよい方策と思っているが如何だろうか。

残るは1日。しかし、年の暮れや新年を迎える感慨を抱けないでいる。今度の正月も、正月明けに入稿などの溜まった仕事をしたり、4月に開催の「花逍遙-II」展の準備などもあって、毎年のことながら何となく過ぎてしまいそうな気がする。

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