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 No.324

三輪 薫(みわ かおる)


No.324 『写す』/フィルムの粒状性がかもし出す世界 2007/2/8

現在、森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズの森タワー52F)で開催中のグレゴリー・コルベール展を観てきた。4月1日(日)まで開催している。

 http://roppongihills.com/jp/macg/
 グレゴリー・コルベール
『animal totems: a prelude to ashes and snow』
 写真と映像で捉えた人間と動物との驚異的な交流の姿。

2×3m〜2×5m程もある手作りの和紙に出力したものと思われるセピア調のモノクロ作品20点余りが、3つのかなり広い部屋にゆったりと展示されていた。それぞれの部屋の入り口には、これも巨大な行灯があり、漆を塗った和紙を通した光が作品と不思議なマッチングを見せていた。静止画像であるプリント作品はフィルムの粒子がかもし出す銀塩ならではの表現世界で、優しい気持ちに浸るようなローコントラストのトーン再現のものだった。このモノクロの写真を見ると、粒子のないデジタルなど絶対銀塩には敵わないとも思われたほどだ。同じ用紙に印刷された小さな図録を買ったが、展示された巨大なプリントに見るような粒子はなく、この写真展で受けた感銘は拡大されたフィルムの粒状性も担っているような気がする。2カ所でハイビジョン映像の投影が常時行われていて、プリントとは逆に結構ハイコントラストでありながらも、きめ細かな映像が印象的だった。内容はとても語り尽くせず、作者からの解説も一切ない。見る側の判断にゆだねる心地よさを感じた。衝撃的な作品、いや、ショックな作品だった。

3月11日〜6月24日には、お台場に設営されるノマディック美術館でも、100枚を超える大型のプリント作品の展示と長編と2本の短編映像も上映されるとのことで前売り券を買って帰った。

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