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 No.327

三輪 薫(みわ かおる)


No.327 『生きる』/いじめ 2007/3/20

以前、テレビ朝日の「朝までTV」を久し振りに見て、登場者の話を聞いていた。この「いじめ」の問題は、いじめる側、いじめられる側、双方に問題を抱え、その事実を見て見ぬふりをする側にも問題がある。家庭を含めた社会全体の問題である。学校でのいじめは、生徒だけに問題があるのではなく、無責任な教師や学校側にも大きな問題があり、双方の子供の家庭、親や兄妹、祖父母や近所の人達の対応にも原因や問題があるだろう。

僕らの育った子供の頃に比べ、自分さえよかったら他人はどうなってもよいと考える小さな社会が大きな社会に増長してしまった結果かも知れないと思ってしまう。また、1日にして、いじめられっ子がいじめる側になるという驚きなど、当事者の子供が生きるための悲しい現実もあるようだ。

企業などの内部告発と似ている。被害者を守るのではなく、体制側を守ろうとの意識が強すぎる。いじめをなくそうと法律をつくる側にしても、与党が作っては本来の逆の立場で物事を考えるのではないかと思ってしまう。弱いものを守るための法律は、弱者しか理解できないだろうから、その立場の者が提案・立案すべきと思う。しかし、いじめの問題などは想像でしか思い浮かべることしかできない立場の者が、国会で立案しようとしたり、語っているから実に不思議である。このようなことは、体験者にしか本当の理解は出来ないはずだ。

先日テレビ放映が終わったドラマに、派遣社員をテーマにしたものがある。主演の女優さんも魅力で、漫画チックな内容だったが、立場が強く見える社員と弱い派遣社員との葛藤の面白さも出ていた。派遣社員が正社員のいじめの対象になっていた。しかし、この主演の派遣社員でさえ、以前は勤めていた企業からリストラされ、強い立場と思える社員とて何時リストラの対象になるかも知れない弱い立場だとの考え方で、自分自身が信じる自由な生き方を選択している。自由業である僕らと同じ立場であり、同じような信念で生きている、いや、生きざるをえないと思った。だからドラマとはいえ、共感を感じて観ていた。

どのようなよい雇用条件を示されても、契約の勤務時間と雇用期間の3ヶ月を守り抜き、後の3ヶ月を自分自身のために過ごす。実に小気味よい仕事ぶりと生き方である。勿論、そのような生き方をするためには、他の人の倍稼がなくてはならないし、そのためには正社員を凌ぐ特技などが必要である。また、同じ立ち場の派遣社員と同様の能力では倍も稼げない。

しかし、このような理想的にも見える生き方が出来るのは、ドラマの中だから可能なのだろうが、自分を信じて生きることが出来たら最高の人生だろう。

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