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 No.331

三輪 薫(みわ かおる)


No.331 『写す』/銀座写真展ギャラリー事情 2007/5/15

東京銀座には、写真業界のメーカーギャラリーなどが多く開設されている。ニコンサロン、キヤノンギャラリー、京セラ・コンタックスサロン、富士フォトサロン、ライカギャラリー、コダックフォトサロン、そしてプロラボの写真弘社や日本発色も開設している。これらのギャラリーは銀座の中央である4丁目交差点を中心に半径300m以内にあり、あちこちと見て歩くには大変便利である。その他にも写真展も行っているギャラリーなどが結構ある。

先日、久し振りに数寄屋橋にある富士フォトサロンに行った。1日平均1,000人くらいの来場者があるところだが、何だか違った寂しい印象を受けた。どうも、六本木にもオープンしたためか、会場にいつものような活気がないように感じた。個展開催中の作者も同様に感じていたようだった。写真業界もデジタル化を迎えてから厳しくなって、既に閉鎖してしまったプロラボのドイフォトギャラリーのように、今後閉館する会場があるかも知れないと心配している。僕のメインな発表の場である京セラ・コンタックスサロンにも、何とか末永く開設を続けてほしいと願うばかりである。

僕は個展を25回開催しているが、大半の会場が銀座である。銀座は僕が写真界にデビューした所であり、その当時の銀座ニコンサロンは、プロ写真家への登竜門とささやかれていた。銀座には、現在でも最も文化芸術の臭いが漂っているように感じる魅力がある。美術界の画廊も今でも銀座界隈には日本で最も多くあるのではないだろうか。そのような銀座に比べ、新宿界隈に写真ギャラリーが少しずつだが増えてきた。なぜだかは分からない。

六本木には国立新美術館もオープンし、7月にはいよいよ数寄屋橋の富士フォトサロンも閉館となり、このサロンは名実ともに六本木に本拠地を構える。最大の来場者数を誇った富士フォトサロンも銀座から撤退し、一時期は銀座は凄かったよね、と言われることがないよう、各ギャラリーには頑張ってもらいたい。銀座にはやっぱり銀座だと思わせる魅力があるのは確かで、今後も大好きな銀座で個展開催を続けたいものだと思っている。

先月、キヤノンサロンから名を改めてリニューアルしたキヤノンギャラリーで、伊勢和紙をメインとしたデジタルプリント展「花逍遙-II」を開催した。キヤノンサロンと違って会場はとても素敵なものになったキヤノンギャラリーだが、何となく裏通りに面していると思わざるを得ない立地条件にある。以前のサロンよりも地下鉄の駅からも少しだが遠くなった。これらのことが影響しているのかは分からないが、現在の富士フォトサロン同様に一時期の活況が感じられないのは確かである。だから、今回の個展にどれだけの来場者が見込めるのか多少心配もしていた。個展開催は自分の作品創りへの確認や今後の思考のために行っているが、開催する以上、より多くの人にご来場頂きたいと願うのは当然のことである。日に日に来場者が増え、最後には会場に人が溢れた「風色-II」展とは比べようがないが、銀座3丁目に移転後の個展の中では、トップレベルの来場者があったと報告を受け、ホッとしている。

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