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 No.336

三輪 薫(みわ かおる)


No.336 『写す』/1冊から注文できる写真集 2007/7/8

(株)玄光社のフォトテクニック5/6月号で「魅せる写真集の作り方」の特集を担当した。モデルケースとして「わの会」の世話人である岩崎ひろ子さんに登場して頂いた。岩崎さんはキヤノンサロン銀座で(現、キヤノンギャラリー)個展を開催しているレベルの方なので、作品内容は申し分なく、160点余りの候補作品の中から表紙を含め21点セレクトし、誌面構成した。結果として、当然ながら素敵な写真集が出来上がった。

この特集を読者に実際に活かして頂くため、先日定員15人によるワークショップも開催された。集まった方々の写真は風景・花・心象風景・スナップ・アルバム的な家族旅行のものや、自分自身を撮ったものなど様々な内容だった。岩崎さんの写真集作りに費やした同じ時間で、今回は12ページものとはいえ、15人分を短時間で次々とセレクトや構成のアドバイスを進めて行くのは疲れた。しかし、実に面白かった。

10年ほど前の年末に、高校を卒業する子供達と一緒にロンドンとパリに行った。長年欲しい欲しいと思っていた HASSELBLAD 用のレンズがあり、こつこつと貯めていたものを思い切って充てた。家族で海外旅行をするのは初めてだったが、この機会を外すともう出来ないと思ったからである。パリには、それまでに何度も通っていたが、やはりモノクロが似合う。息子もコンパクトカメラにモノクロフィルムを入れて撮り、帰国後にフィルム現像し、スキャナで画像を取り込んでプリントしたり、オリジナルのカレンダーを作っていたのだが、僕が見ても実に素敵な作品だった。僕はライカM6やコンタックスG2などを持っていって撮っていたのだが、機材に振り回されてしまったのか、息子の作品のほうがよいような気がして、少々焦ったのを覚えている。競争して撮っていたわけではないが「負けた!」と正直に言った。気をよくしたのか、記念になる形で残したかったのか、インターネットで発注できる写真集作りのコーナーを見つけ、プレゼントしてくれた。よい思い出と記念になっている。

一般的なオフセット印刷による写真集を作るには結構費用もかかり、小さなB5サイズくらいでも100万円くらいする。100冊でも500冊作っても費用の差は少ない。また、写真集を作りたいと思う人には数百冊も必要としない人が多いだろう。このような人にとって、1冊から注文できるシステムは便利だ。しかも、1冊が数千円から可能なのだから嬉しい。しかし、この料金だからといって仕上がりがいい加減ではなく、ちょっと見にはオフセット印刷と見間違えるほどの仕上がりだから驚く。

フォトテクニック5/6月号特集と今回のワークショップをタイアップしてくれたのが、息子が写真集を作ったアスカネットだった。不思議な縁である。

 アスカネット/マイブック http://www.mybook.co.jp/

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