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 No.339

三輪 薫(みわ かおる)


No.339 『車』/車の作りの違い 2007/8/3

1月31日に三菱デリカが新型になって発売された。10数年ぶりの新型モデルだが、撮影の実用車としてはよい車かも知れない。この4WD車をベースにして、VW T-4のキャンピングカー的に上質な改造ができたら撮影用には最適な車になると思っている。しかし、国産車の欠点はイスと重厚感と気品にある。それなりの歳になると長距離走行には疲れを感じないイスが必要であるが、何故か国産車にはそのような点で満足できるものが少ないような気がする。欧州車に乗っている人には理解できるはずで、車の評論家の方にも同じ見解が多いようだ。

VW T-4はイスもよく出来ていて運転の疲れが皆無と思われるほどだ。現在16年目を迎えていてもへたりを感じない。昨年春には島根県の宍道湖まで、秋には広島県の帝釈峡まで撮影に行った。秋の撮影行では帰宅が11月の連休と重なってしまい、午後3時ころまで岡山県の山中で撮影した後、高速道路の大渋滞をさけるために一般道を1日で450kmほど、高速道路を50kmも走り続け、深夜に実家の関ヶ原にたどり着いた。しかし、かなりの長距離走行にも拘わらず不思議と運転の疲れを感じなかった。それまで乗っていたデリカスペースギアなどでは考えられないことだ。

また、車自体の作りの違いも痛感している。初めて外車を購入したのがゴルフワゴンだったが、ドアの開け閉めする音の違いに驚いた。小型車ながら実にずっしりした音で、隣のショールームに展示のもっと上のクラスの国産車でさえ軽い音に感じたくらいだった。これは作りの違いからくるもので、VW T-4も同じだ。ある車の評論家も国産車の最高クラスのトヨタ・レクサスでさえ価格に見合った重厚感に欠けるとテレビ番組で言っていた。VW T-4のドアを開け閉めする時の感触や音と、多くの国産車とは比べようがないほど違う。作りが華奢な車では、万が一ぶつかったときなど、大丈夫だろうかと心配してしまう。事故の多くが正面ではなく、斜めや側面だからである。実際の事故は実験データでは計り知れないことが起きるのではと思う。

VW T-4キャンピングカーのよさはイスの出来だけではなく、小さな車体ながら驚くほどよく考えられた収納スペースも多くある。以前乗っていたワゴン車の2台のデリカでは、車内のあちこちに機材や着替えなどの荷物が溢れ、とても車でキャンピングできる状態ではなかった。しかし、このVW T-4は前輪駆動で、20年以上乗ってきた4WD車とくらべると冬の走行には不安がつきまとう。だからといって手放す気になれなく、一生このようなタイプの車との付き合いが続くだろうと思ってしまう。VW T-4キャンピングカーの愛用者は、トラブル続きでも愛着を感じ、何かにとりつかれてしまったかのように長く付き合っている人が多いような気がする。実に不思議な車である。

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