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 No.414

三輪 薫(みわ かおる)


No.414 『写す』/銀塩とデジタルの融合 2007/12/5

昨日終わった「わの会」『大判中判カメラ同好会』展の作品は、撮影は全てフィルムを使っているが、一部のプリントはフィルムをスキャンしてデジタルデータ化した和紙作品もあった。実は、僕も1点出していたモノクロ作品もこの方法で創った作品である。昨年開催の4回目のファインプリント展でも4割ほどこの方法で出力したプリントを展示した。銀塩写真にはない独特の表現世界があり、銀塩や全てデジタルで行ったものとは一味違った作風を見せてくれるからである。つまり、銀塩写真とデジタルの融合を計った作品創りである。

写真界もデジタル時代になり、銀塩写真は廃れることはないにしろ、フィルムや印画紙などは今までのように豊富には揃わなく、作画と表現に於いて自由には選択できなくなる。その代わり、僕の個展「風香」から始まった銀塩の印画紙では出来なかった和紙によるカラープリントが出来るようになったのだから、デジタル時代になったことも歓迎すべきことでもあると思っている。

これからの作品創りは、作画目的を今まで以上にはっきりさせ、銀塩とデジタルを使い分け、時には銀塩とデジタルを融合させることも必要になってくる。銀塩は日本の伝統工芸のように守り続け、デジタルは日々進化するので、それに合わせた作画研究も大切になってくる。

今回の写真展で、来場者から面白い見解や言葉があった。和紙プリントによる雪景色の写真に雪の質感がでていないとか、僕のモノクロ写真は背景をレタッチで消しているのだろうとか、おっしゃる方があったと聞いている。実にナンセンスな見解や言葉でガッカリした。銀塩ペーパーならともかく、和紙作品は和紙の風合いから感じるものがあり、感じさせる効果もある。2004年に開催した伊勢和紙にプリントした「風色-II」展では、木立以外を真っ白に飛ばした画面をプリントして雪の質感を感じさせるようにした。和紙の粗面(裏面)の凹凸を利用して、あたかも雪があるように感じさせたのだった。

つまり、絵柄しか見ていない発言である。僕の作品は曇り空を背景に残り葉の木立を撮ったもので、当然ながら背景は白くなる。僕は、新緑や紅葉、葉の落ちた木々でも、青空を背景に撮るのは好きではなく、背後が白くなる天候での撮影が大半である。この撮影法を僕と知り合ってから実行し、素敵な作品を創っている方も多くなっている。

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