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 No.415

三輪 薫(みわ かおる)


No.415 『写す』/撮影会やツアーの不思議な巡り合わせ 2007/12/15

自然風景の撮影会やツアーの講師を担当するようになってかなりの年数を重ねているが、実に不思議なことがある。僕が担当するこれらは、撮影目的によって撮影時期や撮影地の大半を僕から提案している。2泊以上の日程では何故か全天候になることも多い。近年暖冬が多いが、初冬の雪景色を撮る企画も提案し、催行してきた。

さすが天候や気象条件までを自分でコントロールすることは出来ず、運を天に任せるしかない。現地に到着した時には、期待とは大きく違っていることもある。過去にはよい出合いも多くあったとはいえ、今回も同じようになるとは限らない。昨年末、裏磐梯高原に行ったときには、路面の大半のアスファルトが見え、日陰にしか積雪がないところが多く、このまま過ぎればどうしようかと内心思案していた。しかし、期待どおりに初日の夜に降雪があり、翌朝には湖沼の水面には今まで見たことがないくらい見事なパターンが現れた。

先日行った美ヶ原では、到着した日は霧も出ず、まず霧氷など望めない天候だとホテルの方々が断言していた。初日の美ヶ原の夕景は綺麗だったが、やっぱり地元の気象に詳しい現地の方の予想は正しいだろと思わせるものだった。しかし、夜半には風のうなりが聞こえ、少しだが降雪もあり、翌朝にはホテルの前は霧が深く漂っていた。理想的には夜半に霧が漂って木々が霧氷に覆われ、朝にはからりと晴れて雪原が赤く染まるのがベストである。だが、朝食後に撮影した木々は霧氷に覆われ、うっすらと雪が積もった丘には雲間から差し込む光が移動し、参加者のみなさんは嬉々としてシャッターを切っていた。撮影が終わる頃には、霧氷も淡くなっていた。

二日目の午後に霧ヶ峰に移動したのだが、途中の白樺湖手前の湖面には素敵な氷のパターンがあった。暫く撮っていると、まるで我々の到着を待ち続けてくれていたかのように消えてしまった。霧ヶ峰の夕景では光芒も現れ、三日目に行った横岳の坪庭は雲一つない晴天で雪の白さが映え、雪を抱いた木々の表情を引き立てていた。今回も幸運が訪れ、多くの被写体に応じた全天候になったという訳である。不思議なことだが、嬉しい出合いだった。

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