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 No.419

三輪 薫(みわ かおる)


No.419 『写す』/ドラムスキャナ 2008/1/10

一昨年の11月に訪問した奈良にある印刷会社で聞いた話だが、高級なドラムスキャナを廃棄処分にしている会社があるそうだ。数千万円以上もする機器をいとも簡単に捨ててしまうとは実にもったいない。購入資金とスペースさえあれば、我が家にも置きたいからだ。この会社は所有しているだけに、今後は強い武器になると思っている。過去に撮影された大半の作品はフイルムであり、今後の印刷やデジタルプリントに対応するのであればクオリティーの高いドラムスキャナは必需品であるはずだ。印刷会社に持ち込まれる写真の大半がデジタルになってしまったのだろうか。

この会社は「ミストグラフ」と名付けられた「エプソンピエゾグラフ」と並ぶ高いデジタル出力技法を開発しており、素敵なデジタルプリントをしてくれる部門がある。「新・版画技術 ミストグラフ」となっているが、カラーとモノクロを20点ほど出力して頂いた。「エプソンピエゾグラフ」で出力の「風香」展のプリント同様に、写真でも素晴らしい仕上がりだった。
http://www.okamura-pic.co.jp/main.asp?code1=Mistgraph&code2=C1
2003年以降、和紙に出力したデジタルプリント展を6回開催してきたが、その内2回はフイルムをドラムスキャナでデジタルデーター化したものだ。このスキャナの威力を自分の作品で体験しているだけに、何とか買えそうだと思う30万円代のスキャナでは物足りなさが付きまとってしまい、購入には踏み切れないでいる。

フイルムにも多様なサイズがあるように、フイルムからデジタルプリントを作る場合、ドラムスキャナでデジタルデーター化したきめ細かな再現のプリントが最適だとは限らない。2006年に開催した4回目のファインプリント展は、銀塩プリントとデジタルプリントのコラボレーション展にした。展示した伊勢和紙とインクジェットプリンタを組み合わせたデジタルプリントは、セミ判のフイルムを一般向けの5万円くらいのフラットベッドのタイプでスキャンした。この組み合わせだからこその味のある再現が出来たと思っている。

3月に開催の「風光-V」展でも伊勢和紙のデジタルプリントも展示予定で、今回は一昨年のファインプリント展と同様に、銀塩プリントと伊勢和紙プリントのコラボレーション展にするつもりだ。スキャンはドラムスキャナと上記の安価なスキャナを、作画と表現目的で使い分けようと思っている。今回は有効画面が1m×2mの手漉き伊勢和紙によるプリントも展示予定だが、これは勿論ドラムスキャナで行うつもりだ。

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