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 No.424

三輪 薫(みわ かおる)


No.424 『車』/大人の車 2008/2/20

先日、TVで放映の車の番組で、ホンダのインスパイヤーを取り上げていた。現在流行のタイプの車ではなく、日本では売れ行きが落ちているというセダンである。しかし、日本での販売目標が何と月500台と言うのに、海外では月に4万台近く売れているという。ただし、アコードの名称で売っているとのこと。改めて指摘されると、日本の街中で走っているセダンの少なさが思い起こされる。

評論家の方が言うように、現在流行の2ボックスや1ボックスカーでお洒落なレストランやホテルに食事に行くには格好良くないのは確かである。車好きの熟年に近い年齢になって思うのは、その年齢にふさわしい車とは何なのかと言うことだ。やはり、最終的にはセダンだと思ってしまう。しかし、一旦実用的で便利な1ボックスカーやステーションワゴンに乗り替えてしまうと、セダンがどうしても遠い存在に感じるのも確かである。実用とお洒落に使いこなせる車とは何なのかと思案しながら決断したのが、10数年前に購入したゴルフワゴンだった。

商用車的なデザインのステーションワゴンが、セダン並みの評価を得たはしりはボルボだと思う。しかし、余りにも大きすぎるのと、撮影専用に1ボックスカーがあり、日常で使うには高額すぎて買えず、10年乗ることを前提に選んだのがゴルフワゴン。9年乗った頃、歩行が辛くなった両親を乗せながらゆったりと長旅ができる少し大きめの車を捜した。その次ぎに乗り換えるのは60台の後半になることを考え、3年前に思い切ってパサートワゴンにした。特別に個性的な車でもなく、おとなしい表情の飽きがこないと思わせるデザインやインテリア、深いブルーの塗装の色合いも気に入っている。新たな車を買うときには、少なくとも10年は乗るつもりで選んでいる。

面白い現象は、ゴルフワゴンに乗っているときには、小気味よい走りを満喫していたのだが、少し大きめのパサートワゴンに乗り換えた途端、妻も僕もゆっくり走るようになった。娘も同様で、以前乗っていた小型車/カローラIIでの走りとは全く違って、ちまちまと走らなくなって驚いている。この車なら、日常の道具としての活用や、ちょっとお洒落な気分でレストランやホテルに行く場合でも、上手く対応してくれそうな気がする。個性的な車は購入時には気に入るだろうが、長く乗っている内に嗜好が変わり、飽きる可能性もある。デジタルカメラのように数年おきに買い換えできる立場でもなく、高額な車の買い換えは真剣にならざるを得ない。

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