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 No.426

三輪 薫(みわ かおる)


No.426 『車』/飽きが来なく、長く乗り続けたい車 2008/3/7

9年乗り続けた5ナンバーのゴルフワゴンは、日本の日常生活には実に使いやすいサイズだった。しかし、3年前に後部座席と荷室をもう少し広めにしなければならない理由があって、10年乗っても飽きが来ないと思われるワンクラス大きなステーションワゴンを捜した。

しかし、10年を目安に乗り続けたいと思わせるめぼしい車種は少なく、ボルボV70クロスカントリーは魅力のある車だが、撮影専用にも1台所有しているので高額すぎて手が届かなかった。走る道具として長年乗っても丈夫さを維持する頑強な構造、飽きの来ない上品なインテリアや外観、サイドエアバック・カーテンエアバックなどが標準装備された安全性への配慮などをメインに考えて絞り込むと、意外や選択できるステーションワゴンの車種が少ない。ミニ開発の狭い土地には広い車庫はなく、ここに収められるサイズにも限界があり、スバルの「アウトバック」、VWパサートワゴン、ボルボV50を候補に上げた。

「アウトバック」は、高額すぎて買えないボルボV70クロスカントリーと同様、最低地上高20cmのフルタイム4WDで造りもよく、冬の撮影にも安心して使えるステーションワゴンである。しかし、当時はまだ撮影用に 4WD のデリカスペースギアを乗っていたので、フルタイム 4WD への執着は余りなかった。また、後の跳ね上げドアがかなり斜めになっており、雨天時には荷室に雨が降り注ぐことも気になって断念した。

「ボルボV50」は値引きもかなりあったのだが、外観デザインが V70 のようにすっきりしていない。見た目の存在感が少なく上品な外観と落ち着いた室内デザインも気に入り、パサートワゴンにした。多分飽きもこないだろうと考えたのだ。パサートワゴンはボルボ V50 よりも車幅が少なく、狭い我が家の車庫入れも選択の一つだった。ゴルフワゴンに比べ30cmほど長くなったが、この30cmの効果は大きく、後部座席への乗り入れの楽さや、長旅などで便利な荷室の広さへの効用もある。しかし、高速道路での試乗を行わなかったため、騒音が国産車に比べると意外と高く、タイヤノイズなどが大きいと思う。以前聞いた話しだが、ドイツ車には車速を感じさせるために高速走行ではそれなりの音が聞こえる仕組みになっているという。半分は納得できる話で、それが本当なら今でも同じポリシーで造っているということになる。

長年乗り続けてもへたりがなくて長距離ドライブでも疲れが少ない硬めのイスは、ベンツとワーゲンだと評論家が言っていた。しかし、これらのイスは体重75kgの人に合わせているとのことで、僕らには硬すぎるのも確かである。パサートのイスはゴルフワゴンよりも若干ソフトで、俊敏に走ってくれたゴルフワゴンよりも走行もソフトである。

僕は外車党ではないが、カメラ同様信頼できる道具として、長年使い続けても耐え、飽きがこないと思われる好みの国産車が見つからなかっただけである。確かに同じクラスの国産車に比べると割高だが、頻繁に乗り換えたいと思ってきた国産車よりも長年乗れば割高とは思えない。広くする理由がなければ、ゴルフワゴンをそのまま15年以上は乗り続けていたかも知れない。故障も少なく親切な装備も多いのが国産車。実用の道具として手を抜かない造りが欧州車で、お洒落な車はフランスとイタリア。質実剛健の車はアメ車やドイツ車、北欧車と言えるかも知れない。手放したゴルフワゴンなど、まる9年経って10数万キロ走行後でもイスは新車同様のしっかりしたもので、ドアのきしみすら全く感じなかったのだから納得がゆく。しかし、ただ同然の下取り価格で、手放すには実に惜しい車だった。

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