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 No.435

三輪 薫(みわ かおる)


No.435 『写す』/個展開催と監修 2008/5/25

写真展の監修を実に多く担当しているが、素晴らしい作品を創っていても笛吹けど踊らずの人から、かなり意欲的に開催を希望する人もいる。謙虚なことは構わないが、作品は発表してこそ自分の作風などを再確認できることにも繋がる。自分を見つめ直すにも、公の場で個展を開催するのはよいことだと思っている。しかし、余りにも謙虚だと、人柄が偲ばれて好感は持てるのだが、歯がゆいことおびただしく思えてしまう。

作者と監修者の関係は、役者と演出家や演奏家と指揮者の関係に似ているように思う。同じ作者でも監修の仕方次第で表現内容が大きく違ってくるからである。新たな自分を見つけたり、見直したりするには、思い切って他の人に委ねてみるのも一つの方法である。ワークショップのメンバーの個展などでは、1回目の個展では作者の意向を聞きながらも、ほぼ白紙委任で監修することが多い。2回目には作者が半分くらいは考え、3回目には自力で開催するのもよいと考えている。

しかしながら、監修者の責任は大きく、自分の個展では失敗があっても自己責任で済まされるが、他の人の作品展では、グループ展と言えども評判がよくなければ監修者が負う部分も大きいだろう。作品セレクトから始まり、会場の展示レイアウト、プリント仕上げ、会場のライティングまで一貫したコンセプトがあって初めて成功すると考えている。

以前富士フォトサロンで開催のフォトワークショップ「風」のメンバーの個展は、大半の作品を霧に包まれた淡いトーンやソフトなライティングで撮ったものをセレクトした。隣の会場ではベルビアによる実に鮮やかな色調の作品展が開催されていたので対照的であった。一昨年、フォトワークショップ「昴」のメンバーが地元の水戸市で開催した花の個展は、当方で伊勢和紙Photoに出力した花の個展で、大変な評判を得て、NHKのテレビ出演やマスコミにも多く取り上げられ、来場者の関心も高かったと聞いている。嬉しいことである。この方は80歳を過ぎているにもかかわらず、毎年のように個展を開催している。しかも、自然風景や花だけではなく、昨年は水戸市内のビルなどを撮った造形写真だった。先日お会いしたときには、10月にも開催するので監修をと、またまた頼まれている。この意欲には、脱帽である。

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