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 No.437

三輪 薫(みわ かおる)


No.437 『写す』/写真のオリジナル 2008/6/15

銀塩の場合にはフィルムの複製(デュープ)を作っても、オリジナルのフィルムを越えた解像力は得られない。しかし、最初からDigitalで撮った映像は、全く同じデータの複製が無限に出来る。だからなのか、デジタルカメラで撮影した画像データをCD-Rなどで入稿した場合、返却されないことがある。作者の下に同じデータがあるから返却しないでもOKと判断しているとしか思えない。おかしな話である。

撮影条件的にリバーサルフィルムでは再現性に限界のある場面もある。このような場合にはポジフィルムをデータ化し、細かくレタッチすると完成度が上がる。デュープやプリントではサイズによる露光時間に制限があり、きめ細かな調整には限界があるが、データ化すれば無限の時間が用意されるので、当然ながら完成度を高く仕上げることができる。よき時代になったものである。

3月の個展「風光-V」でカメラ誌の口絵用に入稿した大半は伊勢和紙によるプリントの作品だったので、ドラムスキャナでデータ化したものをレタッチして渡した。しかし、その内の見開きの1カットは銀塩プリントだったので、5-6万円の安価なフラッドベッドのスキャナでデータ化して入稿した。結果としてはドラムスキャナと比較しても問題を感じないくらいに印刷されていて驚いた。スキャナも進化したものである。2001年に EOS D30 を購入して以来、デジタルカメラで撮った作品も多いが、フィルムで撮った作品は比べようがないくらいに膨大な数である。それらの作品のことを考えると、高額なスキャナが欲しくなる。しかし、実用として考えると、個展時にくらいしかプリントしない者には数百万円も出費して買う価値があるかどうかは判断が難しい。

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