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 No.439

三輪 薫(みわ かおる)


No.439 『写す』/デジタルフォトの保存性と価値観 2008/7/1

3月に開催していた個展「風光-V」に大阪から来てくれた知人が話していたのだが、3年前に保存したDVD-Rが壊れ、画像の取り出しができなくなったそうだ。銀塩フィルムならカビさえ生えなければかなりの年数保存できる。しかし、フィルムのように実際の形があるものと違って、デジタルフォトは実体がなく、DVD-Rなどの歴史も銀塩に比べて歴史も浅く、一体何年くらい大丈夫なのか確信が持てず心配である。

折角撮影した大切な画像を突然失うのは余りにも悲しい。EOS 5D を使うまではフィルムのほうを主体に撮っていたのだが、 EOS 5D を購入以来キヤノンカメラでの撮影はフィルムの消費量が減り続け、昨年には遂にデジタルのみになってしまった。その代わりと言っては何だが、小型カメラでのフィルム撮影はコンタックスをメインに行っている。一時期、デジタルはEOS Digitalで、フィルムは CONTAX 645 や HASSELBLAD の中判カメラでの使い分けが多くなっていた。しかし、小型カメラで撮る作風と中判カメラで撮るのとは姿勢も違い、最近では小型カメラでもカラーとモノクロ共にフィルム撮影を再開している。やはり、安心感はフィルムのほうが遙かに高いからだ。

一昨年だったか、フォトライブラリーからのお知らせで、デジタルフォトは1,000万画素以上でないと取り扱わない。しかし、フィルムはこれまでと同様に扱うと。フィルムからデジタルに全面移行したカメラマンにとっては、1,000万画素以下の写真はもはや商品価値がなく、ゴミ同然である。先月、東北に撮影に行ったとき、十和田湖畔で声を掛けてきたカメラマンの方は、仕事先によっては2,000万画素以上でないと取り扱ってくれないとも話していた。デジタルフォトの取り扱いは、今後も画素数が上がるばかりだろう。

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