Toppageへ
 No.444

三輪 薫(みわ かおる)


No.444 『車』/ガソリン代高騰 2008/8/10

原油高騰の今日、遂にガソリンも1L/200円近くになろうとしている。僕が運転免許証を取得した41年前でも確か50円ほどだったように記憶しているので、収入に比べると現在のほうが値上がりしたとは言え安価とも言える。しかし、値上がりしたからと言って、車で出掛ける撮影日数を減らすことも難しい。

ガソリン代の値上げのせいなのだろうが、観光地では自家用車で出掛けてくる人達が減っていると土産物屋さんの人達が嘆いていた。石油を燃料として使う業界も大変で、漁業や農業の人達も同様である。石油が原料となる製品も当然ながら値上がりする。一方では、この値上がりで儲けた人達が投資に走り、会社やビルの買収をして世の中も混乱気味である。バブル時代に日本の企業がアメリカのビルを買いあさっていたように、オイルマネーがニューヨークの巨大ビルを狙って買いあさっているのをTVで放映していた。

車もエコカーが大流行だが、率先して省エネを唱え、会議を開いている政治家や官僚達が乗っている車はとてもエコカーとは言えず、国を代表する人達が集うサミットにしても、食糧難を議題にしている場での食事が超豪華という理解できない矛盾もある。所詮、このような政治家達には庶民のことなど何処まで理解できているのか疑わしい。ガソリン代にしても、自腹では払っていないのだから、痛みも感じていないかも知れない。

しかし、現在の生活を僕らの子供時代に比べると随分どころではないくらいに贅沢に、豊かになっているのも確かである。僕が生まれ育った山間の小さな町の実家の母屋は、二十歳頃まで近所では珍しいお粗末な茅葺き屋根で、縁側もない6畳四間の家だったような気がする。僕が10歳ころまで農業にも半分携わっていたので土間は広く、焚き口が3つある「くど」もあり、風呂は五右衛門風呂だった。井戸からポンプで水をくみ上げるようになるまでは、風呂水をバケツなどで入れるのは子供達の役目。水を井戸からつるべで汲み、夏の晴れた日には大きなたらいに入れて日向に置いて暖め、再度風呂桶に入れていた。蛇口をひねれば水やお湯が出て、料理も炭のコンロや薪で焚くのではなく、ガスや電気は有り難い。トイレも小さいながらも一戸建で外にあった。雪が降る冬は大変で、今の子供達には信じられない生活だった。妻や子供達には、まるで江戸時代の生活だと笑われたこともある。

だからというわけではないが、ガソリン代が10円値上がりしても、僕の VW T-4 に満タンの80L入れたとしても、差額は800円。近所のガソリンスタンドは、他よりも多少高額だが、差額はせいぜい数十円程度。これくらいは我慢できる範囲である。このスタンドの人達は親切で、廃業されると困るのは僕らである。何事も痛み分けなくして生活は成り立たない。

戻る