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 No.450

三輪 薫(みわ かおる)


No.450 『生きる』/還暦と若さ維持の秘訣 2008/9/26

ジュリーこと、歌手の沢田研二は6月に還暦を迎えたとのこと。歌っている姿をTVで観るのは実に久しぶりで、結構中年太りをしていて何となく安心感を抱いて眺めていた。しかし、歌声は衰えておらず、耳を澄ませて聞く限りは若い頃の姿を思う浮かべてしまうほどで、感心しながら観ていた。風貌も、同年配の政治家や企業人と比べ、何と若々しいことだろう。羨望の眼差しで眺めていた男達も多いはずだ。

実は僕も6月末に還暦を迎えてしまった。勿論、自分が還暦を迎えた相応の歳とは自覚してはいない。しかし、頭髪も40代の頃に比べると益々白くなり、1994年に開催の第1回ファインプリント展で薬に冒され、トレードマークだったアフロヘアも日に日に抜け落ちた。当時の僕を知らない人からは僕が思うほど少ないとは思っていないようだが、今では当時と比べると見る影もない。電車に乗ったときなど、極たまにではあるが席を譲ってくれる親切な若者に出逢うこともある。多分に真っ白になってしまった頭髪のせいだろうとは思うのだが、慢性疲労の固まりである僕は素直に座ってしまう。嬉しいやら、悲しいのやら、理解に苦しむ事多々である。

体重は20代の一時期よりも減っている細身の身体だが、ウエストサイズだけは地球の引力に逆らわず数センチだが増えている。風貌などの外観はともかくとして、自分ではまだ30代の気持ちでいる。この気持ちが永遠に持続できれば嬉しい。まあ、気持ちだけではなく、身体的にもそうあって欲しいと思うのは僕だけではないだろう。芸能界に生きる人達は容姿そのものが商売道具でもあり、夢を売る職業でもある。だからこそ、その若さを保つ事への関心や注ぎ込む経費も莫大だろう。歌手などはそれ以外にも日々の鍛錬がものをいうと思う。僕は知らなかったが、沢田研二は毎年のようにライブを行っていたという。現在の歌声が若い頃の記憶に近いのは、このライブを行うという目的を達成するたゆまない努力があってこそのことなのだろう。

そう言えば、以前TVで観ていた復活コンビのピンク・レディーの二人にも驚いた。現在の二人の年齢は知らないものの、全盛だった二十歳頃から比べると、かなりの歳であることには間違いがない。しかし、僕の記憶の中にある二人と重ねても違和感なく受け止めることが出来た。沢田研二の変身ぶりとは違い、もっと若々しい容姿と舞台での軽やかな動きだった。容姿への拘りは、男と女とでは当然ながら違いは大きいのだろう。

僕らの年代の写真家は、デジタル時代を迎えたまっただ中で作品創りをしている。これも日々頭の訓練にも繋がり、若さを維持することに貢献しているのかも知れない。銀塩世界だけではなしえなかった部分をデジタルで実現でき、そのことが頭の中だけではなく、外観維持にも何処かで拘わっているのかも知れない。そう思うと、写真業界の中で生きていることが幸いと思わざるを得なくなる。ラッキーな時代にまだ現役であることが嬉しい。

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