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 No.451

三輪 薫(みわ かおる)


No.451 『生きる』/還暦と若さ維持の秘訣-2 2008/10/3

歌手、作曲家、役者や映画監督と他分野で活躍している宇崎竜童は僕より2歳年上だが、還暦を迎えたときには中学を卒業したくらいに考えていたという。自分ではまだ30代の気持ちでいる僕よりも、年上の人のほうが気分を若くもっている。これも、若さ維持の秘訣かも知れない。

20代、30代の頃には余り気にしていなかったが、40代の頃からだろうか、同年配の男の人の風貌が時には気がかりになって、その人の実年齢と風貌とを見比べるようになった気がする。大半の人が、僕よりも数歳くらい若くても、皆、僕よりもずっと年配のように感じて眺めていたものだ。今も同じである。何故なのだろと考えたときに思ったのが、人生経験の豊富さによる、外見と内面的な大人への成長の証が風貌に表れてくるのではないだろうか、と言うことだ。

長年積み重ねてきた歳の割には、世間も狭く、たいした経験も積んでこないままに過ぎゆく年を受け入れてきた僕には、年相応の風貌にはなっていない気がする。しかし、数年おきくらいにしか会わない知人に、久しぶりに会ったときなど、「三輪さん、貫禄が出てきたね」などと言われたこともある。何でも素直によいほうに解釈してしまう僕は、ちょっと嬉しい思いでその言葉を受け入れていた。しかし、よくよく考えてみると、「三輪さんも、僕同様に歳取ったね」と言われていたのかも知れないとの思いもある。多分に白髪のせいと、遠くにいても僕だとはっきり分かるほどのアフロヘアではなくなったせいだろう。

若さ維持の秘訣は、何と言っても何歳になっても人生を謳歌し、楽しむ姿勢を保っているかどうかで決まるような気がする。その点では、何事も人生の楽しみと受け入れている僕には、時代が変わっても、時が多く過ぎ去っても、自分が還暦を過ぎたという実感がどうしても湧かない。写真家として生き、日々以前の作品よりも進んだ作品創りを目指し続けるのは大変であるが、それをも自分の楽しみと受け止めているので、気分的な30代を卒業するのは、まだまだ先のような気がしている。

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