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 No.456

三輪 薫(みわ かおる)


No.456 『車』/古い車の価値観 2008/11/10

7月に開催の「わの会」関東地区撮影会に、愛知県から参加してくれた会員がフェラーリのスーパーカー・テスタロッサに乗ってやってきた。昨年まではポルシェ911カレラ。乗り換えたのだという。共に一度は所有して乗りたいあこがれの車だが、努力せずにうらやましがっても仕方がない。

このフェラーリの車は20年落ちの超の付く中古車だそうだが、新車同様の美しい輝きを放っている。デザインもさることながら、エンジン音が実に素晴らしい。まさにこれこそ車だと思われる音だった。比較にはなり得ないが、僕が乗っている VW T-4 のエンジン音も、さすがVWだと言ってくれる人も結構いる。車好きにしか理解できないかも知れないが、静かなことがベストではないのだ。前日に落ち合った信州栄村から合流場所の水上IC近くまで乗せていただいた。超低い車高のイスとは思えないほど座り心地もよく、長距離走行でも疲れが少ない車だと感じた。また、5,000ccのスーパーカーとはいえ、高速道路では 8,5km/1L の燃費だという。信じられないほどだ。

5月に東北に撮影で出掛けていた折り、仙台市の西にある秋保大滝駐車場にポルシェのオープンカーが停めてあった。金属メッキのバンパーが装着されていて、多分20年を遙かに超えた車だと思う。ボディーデザインの曲線がなんとも艶めかしく、うっとりするほど美しい姿で、現在市販の車には見あたらない美と魅力を感じる車だった。多分に現在のエコカーからすると、省エネを叫ばれると答える術を持たない車かも知れない。先のフェラーリのスーパーカーも、街中ではリッター数キロの燃費だと言う。だからといって、このような車を、車を所有している人達を非難するのは間違っている。余り燃費がよくない17年目を迎えた VW T-4 を、僕も乗っているから言うのではない。

古いからと簡単に切り捨てる風潮もあるような気がする。以前にも書いているが、古い車は税金も高い。早く買い換えろという強迫にも感じてしまう。車なども含め、古き良き道具には素晴らしいものが多くある。僕が愛用のモノクロの引き伸ばし機など、2台所有のライツ製は50年も前に製造されたものだが、ピント合わせはオートフォーカス。しかも、現在では作るのでさえ難しいだろうと思われる素晴らしい金属加工の仕上がりと機構を持っている。ダースト社の2台の引き伸ばし機も30年を超えるものだ。

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