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 No.469

三輪 薫(みわ かおる)


No.469 『写す』/写真機材のオートとマニュアル 2009/3/1

30年数年前に初めて買った暗箱の8×10インチ判カメラの製造会社で、自社の木製手作りのフィルムホルダーは量産のプラスティックホルダーより精度が高いと自慢していた。この精度の良さは職人芸のなせる業である。撮る楽しみにも共通性があり、カメラ任せで撮った写真より、自らの意思と勘を働かせ、長年で培ってきたテクニックを駆使しながら創り上げた作品のほうが出来上がった喜びも大きく、満足感も高いと思う。デジタルカメラは、確かに失敗することは少なくなっているが、何故だか心の満足感には欠けるような気がする。やはり撮影時の満足感はフィルム撮影の8×10インチ判などのような大型カメラにはかなわない。

車の運転も同じで、オートマチックよりもマニュアルミッションのほうが運転していて楽しい。しかし、我が家の車もデリカスペースギアをやむを得なく手放してからは二台共オートマチックになってしまい、久しくマニュアルミッションの車を運転していない。都会の街中での渋滞にはオートマチックは確かに運転が楽で、一度乗り始めたら街中ではマニュアルミッションの車は嫌になるかも知れない。カメラも同じと思うかも知れないが、どうして、嫌になるどころか、この面倒な扱いが逆に楽しくさせてくれるのだから面白い。手間暇掛けることにも楽しみや喜びがある。

しかし、モノクロの銀塩プリントをしていると、マニュアルフォーカスの引き伸ばし機はピント合わせが面倒である。愛用しているライツ製のフォコマートの二機種とダースト社の35ミリ判引き伸ばし機はオートフォーカスになっていて、誠に便利で楽である。ズームレンズにも同じことが言える。

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