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 No.470

三輪 薫(みわ かおる)


No.470 『写す』/ファインプリント展-V 2009/3/10

京セラ・コンタックスサロン東京で3/4から開催の、主宰しているフォトワークショップ「風」展に引き続き、明日11日から僕の個展を開催する。コンタックスサロンでのファインプリント展は4年毎に開催してきたが、2002年の3回目にはネガカラー現像対応の Kodak T400CN とポートレート用のKODAK バライタ印画紙「エクタルア」を組み合わせた作品も一部であるが展示した。この印画紙はメインに使っていた KODAK Elite Fine-Art とは違い、かなりの温黒調で優しいトーン再現が出来る。

4回目は、全てのフイルムを Kodak T400CN/BW400CN にして、印画紙も「エクタルア」のみでプリントした。また、展示の1/3程だがインクジェットプリンタ用に開発された機械抄きの伊勢和紙Photoによるデジタルプリントも展示した。5回目の今回も前回同様に銀塩のバライタ印画紙「エクタルア」とデジタルの伊勢和紙プリントのコラボレーションで展示するが、半数が和紙プリントである。今回の和紙は大半が手漉きで、6銘柄を使い分け、伊勢和紙Photoも2銘柄選んでいる。

また、伊勢和紙Photoに「落水」という技法で重ね漉きした和紙にも4点プリントした。2007年にキヤノンギャラリーで開催の伊勢和紙プリントによる「花逍遙-II」展では、顔料インクでプリントした和紙の上から「落水」を重ね漉きして花の持つ色香を引き出したが、今回は「落水」仕様の和紙の上にプリントした。当然ながら「落水」の和紙は表面の繊維の凹凸がより大きくなり、ソフトな再現になる。しかし、意外や立体感や奥行き感が引き出せ、面白い発見だった。和紙での表現の可能性は大きく、10年前から和紙の虜になっている。

今回展示の作品は、前回にも増してソフトなトーン再現のものが多い。全て日本の自然風景であるが、真冬の寒々とした景色でも、何故か心温まるような調子にプリントしている。和紙も同じである。何故なら、このようなトーンが好きだと言うことにもあるが、自然の中ではどのような気象条件であっても、心の何処かに安らぎを感じて眺めていることが多いからである。

KODAK バライタ印画紙「エクタルア」は随分前に製造が打ち切られているが、大量に買い込んで400Lの冷凍冷蔵庫にしっかり保存していて、まだ在庫がある。今回の暗室作業は、前回までに比べ1日のプリント量を半分くらいに抑えていたことも幸いし、暗室作業を開始する前から通院し、病気の再発も最小限で食い止めることが出来た。久しぶりに暗室に籠もった銀塩プリントは楽しく、この充実感は言葉では表せないくらいだ。この調子なら後数回はこの印画紙での個展も開催できそうだ。

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