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 No.473

三輪 薫(みわ かおる)


No.473 『写す』/デジタルカメラのレンズ 2009/4/10

Carl Zeissや Leitz のレンズを使ってデジタルカメラで撮ると、銀塩以上に写りの差が出るという人も多い。撮り比べてみるとよく分かるだろう。35ミリ判のコンタックス用のCarl Zeissレンズを、アダプターを使って他社のデジタルカメラで愛用している人も多いと聞いている。ソニーのαシリーズのデジタルカメラにはこのCarl Zeissレンズも用意されている。キヤノンやニコンのデジタルカメラと併用している方もいて、明らかな写りの違いを認めている。デジタルカメラメーカーは、もはやかなり進化したボディーの開発以上にレンズの開発に力点を置いていただきたいと願ってしまう。

Carl Zeissレンズの写りのよさは、メカが好きな人達の間では当然のように語られていて、写りの違いを報告しているサイトも多いようだ。これらのレポートを読むと、不思議なのが国産の高級レンズよりも安価なCarl Zeissレンズのほうが写りがよいという点である。以前、銀座5丁目の鳩居堂ビルにあった頃の「京セラ・コンタックスサロン銀座」で開催していた個展で、当時2万円だったテッサー45ミリで撮ったカットを全倍で展示した。この作品に対して、プロの方が「これはハッセルで撮ったのだろう」と最後まで疑って帰ってしまったことがあった。僕がHASSELBLADも愛用していることを知っている人だった。「しっかり撮り、きちんとプリントすれば、これくらいの再現ができるのですよ」と説明しても納得してくれなかった。銀塩でもこれくらいの違いはあるという証だろう。デジタルではもっと顕著な違いが出るらしい。

しかし、全てのメディア(用紙)でしっかりと判別できる違いが出るわけではないと思っている。多分、きめ細かな再現を受け止めてくれる写真用紙や表面のきめ細かな画材紙などではしっかり差が出そうだと思っている。先の PIE で展示したエプソンの画材紙[UltraSmoothFineArtPaper]では、レンズによるトーン再現のよさや、見た目の自然な奥行き感などの再現を再確認できた。その点、きめ細かさははっきり出せるのだが、レンズの持ち味までもしっかりとは受け止めることができないと思う和紙プリントに関しては、レンズに拘る僕でも意外や安価なレンズを愛用することが多い。EOS Digitalで最も常用度が高いのが EF 28-135mmIS である。花などのクローズアップには1万円もしないEF 50mm F1.8 を使うことが多い。小型カメラは全てが軽量コンパクトなのがベストと思っているからでもある。

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