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 No.478

三輪 薫(みわ かおる)


No.478 『写す』/カメラの名機とは 2009/6/20

4〜5年前、アサヒカメラ編集部から「名機と思われるカメラ」は何かとのアンケートが来たことがある。僕は、フィルムカメラの35ミリ判一眼レフでは、コンタックスRTS II/コンタックスRTS III/ニコンF/キヤノンF1…の順に。コンパクトカメラでは、コンタックスT2/リコーR1…。レンジファインダー式のカメラでは、ライカM6/キヤノンP…。その他のカメラでは、大判カメラの初期のジナー/エボニーのビューカメラを挙げた。デジタルカメラに対しては、「歴史が浅く発展途上のカメラで、該当なし」と返答した。

結果は、予測していた通り銀塩35ミリ判一眼レフの筆頭はニコンF。コンタックスはRTS IIではなくRTS IIIのみが9位にランクされていた。10位までにランクされた得票総数221票の内、たったの9票だが、まあ健闘していると言ったほうがよいかも知れないだろう。

しかし、誌面を見て驚いた。僕が該当なしと答えたデジタルカメラを挙げていた人もかなりいたことだ。当時はまだまだ未完成品の発展途上のカメラを名機と呼べるのだろうかと疑問を感じた。何だかメーカーへのゴマスリのような気がした。名機とは、例えどのような仕上がりとは言え、一生使い続けることが出来るカメラであり、愛用し続けたいと言う思い入れの高いカメラで、過去現在未来と自分の作品創りを託せるカメラを言うべきだろうと思っている。

上記のアンケートから何年も経ち、日進月歩のデジタルカメラも随分進化してきた。デジタルカメラの最大の欠点であったCCDやCMOSに付着する埃も除去出来るようになった。新たに発売される新機種に興味を持たない強い気持ちがあれば、現在のデジタルカメラでも10年くらいは十分に愛用できるレベルになってきたと感じている。しかし、家電製品となってしまったデジタルカメラは、部品がこの世からなくなれば廃物となる運命にある。これは銀塩カメラにも当てはまり、全てがメカニカルではない機種は電子部品が多用され、部品の調達が出来なくなった時が終わりである。やはり名機とは、30年、50年と、修理をしながらも永く使い続けることが出来るものだと思っている。その点では、先のアサヒカメラのアンケートには列記しなかったが、メカニカルボディーのコンタックスS2は、名機と言えるカメラかも知れない。電子カメラのコンタックスRTSIIIなどが製造中止になりそうなとき、数台買い集めた。このカメラならいつの時代になっても修理できるだろうし、数多く揃っているレンズも活かすことが出来ると思ったからである。

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