Toppageへ
 No.485

三輪 薫(みわ かおる)


No.485 『写す』/銀塩プリントとデジタルプリント 2009/8/25

専任講師を務めているキヤノンフォトクラブ湘南展を9月1日からJR藤沢駅ビルのルミネ6Fにある藤沢市民ギャラリーで開催する。この銀塩プリントを、いつものように赤坂にあるPGL(フォトグラファーズ・ラボラトリー)にお願いした。今回もリバーサルフィルムからインターネガを作ってのプリントであるが、ネガカラーペーパーの豊かなグラデーション再現が素晴らしく、素敵な作品に仕上げていただいた。

本番プリントチェックで行ったときに、僕の個展のカラープリントをしてくれているラボの方がモノクロプリントを見せてくれた。原版は 8×10inch カメラで撮ったフィルムで、1枚は銀塩バライタ印画紙、もう1枚はデータ化してインクジェットプリンタでバライタ写真用紙に出力したものだった。

銀塩プリントは半日くらいで仕上げ、デジタルプリントは他に依頼して1週間後に出来上がったという。しかし、どう比べて見ても、質感やグラデーション再現、モノトーンの深みなど、銀塩プリントが勝っているように見えた。プロラボでのデジタルプリントがかなり進化したとはいえ、カラーでもモノクロでもまだまだ銀塩のほうに魅力がある。

今回のキヤノンフォトクラブ湘南展の堀内カラーにお願いしたデジタルプリントは、フィルムをデジタルデータ化したものも2点ある。フィルムでは銀塩プリントのほうが素晴らしいとはいっても、細い枝など細かな部分の覆い焼きなどは無理なカットもあり、デジタルプリントはコントラストや部分的な色調整もでき、作画によっては銀塩印画紙を使うラムダ出力のほうが目的にかなう場合もある。また、銀塩のカラーペーパーよりも画材紙や和紙のほうが内容的に素敵に見える作品もあり、今回フィルムをデータ化した2点は画材紙に出力している。このような結果を予測したものは迷わずデータ化してプリントしている。今回の写真展は手焼きによる銀塩プリント、ラムダプリントや画材紙と伊勢和紙の4種のメディアで展示する。デジタル化を迎え、プリントの選択肢が増えるのは嬉しいことである。

戻る