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 No.496

三輪 薫(みわ かおる)


No.496 『写す』/先駆者の現場 2009/12/23

夏以降、カメラ誌に執筆し、作品を掲載することが増えているが、久々に自分自身が登場するページがデジタルカメラマガジンの2010年1月号に掲載された。今回105回目となる「先駆者の現場」という連載ものである。写真の関係で100を超える先駆者がいるとは驚きであるが、何故か今回僕もその仲間入りしたことになりそうだ。登場を依頼されたときには何の先駆者と考えたのかなとは思ったものの、やはり「カメラで日本画を描く、和紙プリントの先駆者」ということでの登場となった次第である。

僕が和紙プリントの先駆者かどうかは別にして、今回の取材、いや、取材される側としての二日間は楽しく過ごすことが出来た。色々忙しくしていた時期だったので、撮影場所を近間の奥秩父をメインにしていただいた。今回の取材を受けるのは僕だけではなく、愛車の VW T-4 も撮影行での大半の運転をお願いしている妻も登場となった。久しぶりにポップアップしてサイドオーニングも引き出し、その屋根の下でコーヒーを飲むシーンも撮っていただいた。撮影行の気分転換には頻繁にコーヒーをたてて飲んでいるので自然なことではあるが、ポーズなど注文されながらの撮影は、やはりどこかぎこちなくなってしまう。

トビラ用カットの撮影は観光客で賑わう冬桜で有名な群馬県藤岡市の桜山公園だった。歳を重ねるに従って多少は図々しくなり、取材されるのも慣れてきたとはいえ、カメラマンはじめ3人掛かりでの撮影では目立ち過ぎ、通り過ぎる観光客の物珍しそうに眺める姿を、こちらも眺めながら被写体となっていた。

8ページなので伊勢和紙プリント作品も4点掲載されている。EOS 5D Mark II で撮った2点は取材される数日前にロケハンを兼ねて行ったときの最新作である。しかし、和紙プリントの紙質までしっかり出す印刷は難しい。今回掲載の2007年にキヤノンギャラリーで開催の「花逍遙-II」展で展示した重ね漉きの作品は、繊維がしっかり画面の上に載っていたためか結構いい感じで出ていた。しかし、伊勢和紙photoや手漉き伊勢和紙の作品は、紙質までを印刷で再現するのは難しかったようだ。だが、和紙プリントを眺めていても銀塩カラーペーパーと同じように見えるわけではなく、ややソフトな感じに見えるので、その辺りの感触が伝わればいいと思っている。和紙プリント作品をデータ入稿して印刷されたら、和紙らしさはみじんも感じないからである。

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