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 No.511

三輪 薫(みわ かおる)


No.511 『生きる』/不景気時代の生き様 2010/5/5

先日、実に久しぶりに名古屋のデザイン学校の同学年で、グラフィックデザイン科を出て、卒業後から現在もデザイナーとして活躍している友人と話し込んでいた。お互い零細ながらも自立しながら生きている身だが、この不景気時代に愉快な話はない。だからといって心底嘆き苦しんでいるわけでもない。何とかお互いそれなりの仕事もしていて、何となく暮らして行く術も心得て生きているような気がする。

だからか、この不景気時代でもお互いこの零細な立場で友人は40年、僕は30年近く、いまだにお互いの業界で生きている。考えてみれば、これは大変なことであるかも知れないと言い合っていた。ときには時代の寵児になっても、永くその立場でいることが出来る人は超少数派であろう。狭間的な立場で生きている僕らは、何時落ちこぼれても不思議ではない。なのに、今こうしてそれぞれの世界で何とか生き、儲け仕事ではない自分の本音をさらけ出す作品創りと発表をし続けているのは大変なことだと、お互いを褒めあっていた。

嫌みな言葉に聞こえるかも知れないが、将来の老後の生活の心配をし、やりたいことをセーブするのではなく、なるがままよと、そのとき時に行いたいと決めたことへ全力投球してきたからこそ、現在も何とか好きに生きることが出来ているのではないのだろうかと思っている。勿論、自分の力などわずかで、回りの多くの人のお陰で生き、暮らせるのは分かっている。その回りの人たちは僕や友人の生き様をじっと観察しているからこそ仕事を回してくれ、助けてくれているのではないかとも思っている。ありがたいことである。

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