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 No.518

三輪 薫(みわ かおる)


No.518 『創る』/デジタル時代のアナログ-3 2010/7/15

写真の魅力は銀塩フィルムの粒状性にもあると思っている。小型カメラ、中判カメラ、大判カメラの順で当然ながらフィルムサイズが大きくなり、同じサイズにプリントした場合、当然ながらフィルムサイズに応じて粒状性がきめ細かく見える。35ミリ判のフィルムカメラで撮って横幅1,500ミリくらいのカラープリントで個展を開催したことがあるが、この個展作品を大型カメラだったらよかったのではないかとは一切感じていない。小さなサイズのフィルムから超拡大したプリントだからこそ、粒子が見えだし、その粒状性が空気感や臨場感を引きだしてくれると予想し、個展会場で確信を得たからである。

大きなサイズにプリントするには大型カメラでと言う短絡的な考えはもっていない。個展プリントの場合、何故小型カメラなのか、中判なのか、大判カメラでなくてはならないのかを考えないで撮影出来ない。プリントも同じで、小型カメラだから限界があるとは通常の個展では思っていない。それどころか、 8×10inchカメラで撮った作品は、せいぜい横幅1mくらいでと考えるほうが多い。拡大率は横幅で約4倍。見た目の印象はほぼ密着プリントに近いと思う。しかし、35ミリ判のフィルムから四つ切り程度に引き伸ばしても拡大率は横幅で約8倍になる。半切では約11,5倍。全紙なら15倍。全倍の場合は25倍である。

横幅90センチの全倍プリントでは、半切程度のプリントを眺める位置よりも下がってみることになる。もっと大きなサイズでは、当然ながらもっと下がった位置で眺めることになる。プリントとの距離を長くとると離れて眺める分画像がシャープに感じる。印刷のポスターにも言え、内容次第だが大きなサイズではきめ細かな印刷よりも粗い印刷のほうがエッジも立って見えると聞いたことがある。

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