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 No.524

三輪 薫(みわ かおる)


No.524 『創る』/写真のトーンとグラデーション再現-2 2010/9/5

デジタル全盛になってプリントでよいことも増えた。鮮やかタイプのリバーサルフィルムで撮り、なおかつPLフィルターを併用したものは、ダイレクトプリントではハイコントラストで色合いもフィルムよりも鮮やかになる。その点、ネガフィルムとリバーサルフィルムの中間くらいのグラデーション再現をするデジタル画像は、ダイレクトプリントに比べ、コントラストも低く出来上がり、コントラストも調整でき、グラデーション再現がいい感じに仕上がることが多くなる。

フィルム撮影はいまだに続けているが、銀塩ペーパーによる個展作品はリバーサルフィルムからインターネガを作成し、ネガカラーペーパーにプリントしている。多種多様なリバーサルフィルムの発色特性などを活かしながらも、ダイレクトプリントでは再現が難しい滑らかなグラデーションを引き出したいからである。

隔月刊風景写真のプリントの部の審査の担当は7月で終了したが、1年を振り返るとダイレクトプリントに慣れ親しんだ愛好家とはいえ、随分グラデーション再現がよくなったと感じている。これはプロラボではデジタルプリントが主流になりつつあるのと、デジタルプリントの自家処理が増えたためだと思っている。また、ポジポジのダイレクトプリントに慣れ親しんだ人達にも、ネガフィルムに近いグラデーション再現を見せてくれるデジタルカメラでの元画像をモニターで見ていることも大きいと思っている。

勿論、ハイコントラストで鮮やかなトーン再現を否定するものではなく、全てがこのトーン再現でよいとは限らないということである。トーンやグラデーションは、作画目的で決めるべきである。随分前から言い続けてきたことであるが、やっと理解してくれる人達が増えてきたように感じている。これはいいことである。しかし、以前には僕の写真はトーンやグラデーションを見るだけで三輪の写真と分かったと言う人も多かったようだが、今は似たような写真が多くなってきたと、先日の例会で生徒さんが話していた。

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