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 No.525

三輪 薫(みわ かおる)


No.525 『車』/車のデザインと質感 2010/9/15

先月お台場に行って観覧車に乗ってきた。以前娘から今年の暮れには撤去されてしまうらしいと聞いていて、この観覧車から一度夜景を楽しみたいと思っていたからだ。隣のビルにはトヨタ車の全てが展示されているのではないかと思うほど多くの車が置いてあった。試乗も出来るらしい。この日は近くのホテルで夕食を食べたときにビールを飲んでいたので試乗は諦めた。その代わり数多くの車を次々覗き込み、運転席に座ってハンドルを握ってみた。

以前、結構暇な時間があったときには相模原市や近隣のディーラーに寄って車を見たり、試乗したりしていた。ディーラー巡りは趣味の一つだが、最近では極たまにしか出掛けていない。今回、以前の印象とは結構違っていたのが150万円以下クラスの大衆車である。ハンドルのがたつきもなく、イスやドアの仕上げも結構よくなっていることだった。しかし、高額の車になるほど車幅が広い割には何故か窮屈で、価格に見合う洗練されたデザインや仕上がりには感じなかった。何故だろうか。

TVで放映の車番組で評論家の方が絶えず話している内装の上質感やデザインが、同レベルの欧州車と比べまだまだ物足りなく感じた。ダッシュボードや運転席横のコンソールボックスもやけに気になった。特にコンソールボックスは車体の割には大きく、3ナンバー車でも窮屈に感じた。また、この高さも気になった。何故こんなに高くしなければならないのか不思議に思うくらい高く幅も広い車が多いと感じた。中には圧迫感さえ覚える高さに作られているような気がする車もあった。低く細く作ったほうが室内空間は広く感じ、足下もゆったりするはずで、特に1ボックスカーには必要ないと思っている。

最も驚いたのが1ボックスカーの400万円を越える最高級モデルだった。後席のキャプテンシートだが、可動式のアームレストではなく、左右をがっちり固めたデザインで、167センチほどの僕の背格好では乗せている腕がだるくなると感じるくらいの高さで作られている。まるで箱の中に押し込められているようで窮屈この上ない。また、フロントガラスをかなり寝かせて空気抵抗を少なくしているためか、ダッシュボードの上部分が前へとビックリするくらい長く伸びている。エンジンが運転席の下にある1ボックスカー2台に10数年乗っていたことがある。ダッシュボードの上部分の奥行きは少なく、全く気にならず視界は実によかった。現在乗っている1ボックスカーの VW T-4 のエンジンは前にあるが、ダッシュボードの上部分はエンジンが運転席の下にある1ボックスカーや、別に乗っているステーションワゴンと同様の奥行きである。また、この最高級モデル車のコンソールボックスを豪華と感じる人がいるのかも知れないが、僕には威圧感さえ感じる凄さだ。

デザインは何でも各自の好みであるが、車は走る道具である。見せかけのデザインよりも運転しやすさを含め、道具としての実用的なデザインを好む。また、長く所有していても絶えず新鮮な感覚を抱くことができる飽きのこないデザインや質感を期待してしまう。そのように感じない、期待できない車には乗る気がしない。その点でも特にトヨタを代表する高級車のレクサスにはガッカリした。まあ、とても買えない車なので、どうでもよいことなのだが。

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