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 No.530

三輪 薫(みわ かおる)


No.530 『創る』/写真のトーンとグラデーション再現-3 2010/11/5

かなり前のカメラ誌でPLフィルターの使い方へのアンケートがあった。常用派か、たまに使うか、使わないかの質問だった。僕は必要に応じて使う。1週間くらいの撮影行でもほとんど使っていないことがあったり、終日大半付けっぱなしだったり、様々である。

原則的には、PLフィルターは使いたくないのが本音である。PLのサングラスを掛けて眺めて心に響いた景色を撮る場合はいいが、肉眼のまま見て感動した風景をPLフィルターで歪曲して撮りたくないからである。ましてや、鮮やかタイプのリバーサルフィルムで、晴れた日にPLフィルターを常用して撮るなど、僕の表現世界では考えられないことである。しかし、写真とは光を撮ることであると考えているので、時には光の反射が強すぎたり、多すぎることもある。フィルムやデジタルでのグラデーション再現に限界があると思うハイコントラストなライティングや光の反射を微妙に調整したいと考えるときやサングラスを掛けて眺めているときに素敵だと感じた時には、迷わずPLフィルターを使う。しかし、いかにもPLフィルターを使いましたと見えるような作画にはフィット感を覚えない。

とは言いながらも、沖縄の島々で強烈な太陽の光りと青く澄んだ海や雄大な雲を眺めているとその表情をより印象的に撮りたいと思うこともある。このような時には迷わず鮮やかタイプのフィルムにPLフィルターを併用して撮ることが多い気がする。何事も、その場その場で感じ取った印象を素直に引き出すためでもある。しかし、帰宅後に眺めていると、ちょっと誇張し過ぎたと感じることもある。色やコントラストの引き出し方は難しい。

PLフィルターは、光の反射の調整だけではなく、色合いも変えてしまう。先日、ちょっと慌てて撮影し、横位置で撮ったカットを縦位置にして撮ったのだが、PLフィルターの回転を戻すのを忘れてしまい、帰宅後にモニターで画像を見てガッカリした。90度の回転だけで、かなり色合いが違っていたからである。この色の違いはレタッチなどでは修正不可だろう。

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