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 No.534

三輪 薫(みわ かおる)


No.534 『観る』/アナログとデジタル画像 2010/12/15

TVで余りにも克明できめ細かな映像を見るのは疲れることもあり、昨年末に液晶TVに切り替えた我が家では、まだアナログ放送も受信している。アンテナを今まで使っていたものを流用していて、デジタル放送の受信には局によっては乱れることもあるからという理由もある。

デジタル放送の番組がフルサイズのデジタルカメラの画素数に例えるとどれくらいになるのかは知らないが、アナログ放送に比べると格段にきめ細かくきれいである。アナログ放送が小型カメラのフィルムだと考えると、デジタル放送は軽く 4×5inch 判を越えているように感じる。デジタルビデオで最少のデータで録画した画像でもとてもきれいだ。デジタルカメラでいう1,000-2,000万画素のような画像では、風景などの紀行ものや美術番組ならいいが、ドラマなどの女優さんが登場の場面では目を覆いたくなることもある。200-300万画素くらいが妥当ではないだろうか。役者やタレントにとってデジタル時代は辛く、厳しいものになっているのではないかと思っている。

TVを眺める者にとっても夢があるほうがいい。デジタル放送はその夢を奪ってしまうこともある。時代の進化は嬉しいことばかりではない。高画素数のデジタルカメラで撮ったきめ細かな画像を、わざわざ銀塩フィルムの荒れた粒子を思わせるように仕上げた個展を見たこともある。実にナンセンスな行為だと思っている。主宰している全国組織の「わの会」第6回写真展が終わったばかりだが、フィルム撮影のプリント画像はデジタル画像に比べると荒いが奥行き感や空気感の再現が自然で、臨場感を漂わせた描写には合っている。半切サイズでもこのように感じるのだから、12/21(火)から藤沢市で始まる僕が監修のキヤノンフォトクラブ湘南展の全紙サイズでは、その違いがもっとはっきり受け止めることが出来ると思う。本番プリントチェックをしたラボで眺めていても、つくづく銀塩写真は力のある描写が出来ると毎回再認識させられている。プリントだけ眺めていても感じるのだから、額装して会場に展示されたものを見ると尚更だろう。

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