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 No.535

三輪 薫(みわ かおる)


No.535 『創る』/アナログとデジタルプリントの比較と使い分け 2010/12/20

デジタルプリントをお願いしているプロラボの堀内カラーでも、数年前から写真展の和紙プリントを受けてくれるようになった。デジタル画像からは銀塩ペーパーに出力するラムダと、インクジェットプリンタで出力する画材紙と和紙の2種(伊勢和紙photo雪色/とりのこ色)を選ぶことが出来る。ラムダ出力も数種のペーパーを選択できる。勿論フィルムでもスキャンしてデータ化すれば同様のメディアに出力できる。お付き合いも長くなると求めるプリント仕上げへの理解も深まり、テストプリントの仕上がりも1ステップ先を行き、本番プリントのロスも少なくなってきている。

赤坂のPGL(フォトグラファーズ・ラボラトリー)は僕の個展のフィルム撮影の銀塩カラープリントの全てを長年お願いしているラボであり、日本を代表するプロラボと思っている。写真家とのお付き合いも多いラボで、信頼も厚い。監修する写真展もリバーサルフィルムからは全てインターネガを作成している。まだ、在庫があり、ネガフィルム同様とは行かないまでも、グラデーション豊かなプリントが出来上がる。写真弘社に依頼する写真展もあるが、このラボではダイレクトプリントとラムダ出力のみ依頼している。フィルムからのプリントの大半はダイレクトプリントだが、画像によってはネガプリントと思えるほどのきれいなプリントを作ってくれることもある。要はどのようなプリントを要望し、指示するかで決まってくる。このラボは銀座店内にギャラリーがあり、ほぼ毎年のようにカルチャースクールの写真展を開催している。この写真展で展示のプリントと、他の多くの写真展のプリントの大きな違いはグラデーションの引き出し方にある。一般的に多いギラギラした鮮やかでハイコントラストなプリント仕上げは好きではなく、可能な限り美しいグラデーションを出していただくようにお願いしている。

同じ銀塩ペーパーでも、元画像がデジタルとフィルムではプリント結果も違ってくる。元画像がデジタルの場合、透明感のある仕上がりを期待できるのが銀塩ペーパー使うラムダ出力である。勿論パソコンで画像処理するのでフィルム撮影の銀塩プリントに似た仕上げも可能だが、やはり見比べると違いがある。画材紙や和紙プリントも含め、デジタルプリントの利点は細かな部分までもレタッチ調整できることにある。これは銀塩の手焼きプリントでは到底及ばないことだ。フィルムでも手焼きでは限界があると判断したときや、作品内容が画材紙や和紙が合っていると判断したときには、迷わずデータ化してデジタルプリントにする。デジタル時代を迎え、失われたこともあるが、写真の表現にはよいことも増え、嬉しく思うことも多くなってきたのも事実である。

明日21日から藤沢市で始まるキヤノンフォトクラブ湘南展でも、PGLでのフィルムからの銀塩プリント(インターネガ使用)、堀内カラーでのラムダ出力、画材紙と和紙作品を展示している。作品内容によってメディアを使い分ける写真のグループ展はまだまだ少ないためか、毎回多くの関心を集めている。

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