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 No.538

三輪 薫(みわ かおる)


No.538 『生きる』/映画の醍醐味 2011/1/10

映画は好きで、子供の頃には実家の関ヶ原駅前にあった映画館によく通っていた。とは言っても少ない小遣い銭では観ることは出来ず、同級生の親がこのこの映画館の関係者で、二人で裏口から入館して観ていた。ここは大半東映映画で時代劇が多かったが、たまに東宝や日活の映画も上映していた。イスも板張りの粗末なもので、二階席は板張りの床の上にゴザが敷いてあったように記憶している。

昨年は4本観た。全て橋本駅近くにあるシネコンで、ここで上映されていない映画を観たくても都内の映画館に通う時間がなかった。「武士の家計簿」を観た時の予告にあった 12/18 公開の「最後の忠臣蔵」も、人の生き様を考えるとちょっと気になって見逃したくないと思い、年末の気分転換で観てきた。今まで観た「忠臣蔵」の映画の中では一番見応えのある内容だった。事実のことを元にしているのか、一部創作なのかは知らないが、討ち入り後の生き残った、いや生き残ることを命じられた二人の武士の物語である。一人は訳あって討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門。もう一人は討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門。武士として悲哀とも言える正反対の運命を背負いながら生き続けた二人が16年ぶりに再会する物語。「赤穂浪士」ものの表舞台を撮った映画は数々あるが、このように隠された世界を描いたのは初めて観た。武士の生き様とは何か、人の生きるべき道は何かと考えさせられた映画で、泪せずには観ることが出来なかった。

一昨年の暮れに予定よりも早く液晶TVを買ってしまった理由の一つに映画が好きだということがある。シネコンが近くにあるとはいえ、昨年観たのはたったの4本である。普段は頻繁に映画館に通う時間もなく、せめて自宅で楽しみたいと40インチのを買った。しかし、40インチとはいえ居間にいて観るのと、映画館で観るのとでは大違いである。集中度が全く違い、映画の中に心から入り込んで観るにはやはり映画館がいい。最近の映画館のイスは豪華で、傾斜も大きく作られているために前席の人の頭も邪魔しないで観ることが出来るのも嬉しい。音響にも臨場感がある。ただ、ドルビーになってからは少々音量が高すぎて嫌になることも結構あるのが気になっている。

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