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 No.542

三輪 薫(みわ かおる)


No.542 『創る』/写真展のプリントサイズ 2011/2/20

2009年3月で閉館になってしまった京セラ・コンタックスサロンでは、13回個展を開催してきた。シリーズで5回開催の「風光」の後半3回と「樹奏」や「Rock」では大型プリントで展示していた。短辺1,000-1,200mmが6点、全倍を10点で、余白なしで展示の大きな額装サイズ/1,200×1,650mmのプリントは畳一枚分よりはるかに大きい。一度自宅に運んでいただいたことがあったが、会場で見るよりも余りの大きさに驚き、ある場所に長年保管をお願いしていた。

これらの作品は全てリバーサルフィルム撮影の銀塩プリントで、額装して展示していた。大きなサイズでは平面性がよく軽量な裏打ち材が必要になる。この初回の開催では、ロールの印画紙でプリントできるぎりぎりの裏打ち材を捜したところ、短辺1,200mmの物が見つかった。しかし、16点といえども額と裏打ち加工で小型の大衆車に近い請求書が来てビックリした。

このような大きなサイズで展示した写真展では、会場で目の当たりに眺めると臨場感溢れた世界になる。全てのことが『大きいことは、いいことだ』とは言えないが、大きいからこそ作画と表現が目的に適うこともある。当時は銀塩カラーペーパーも良いものが多銘柄あり、フィルムも35ミリ判と645判だったので、全て 5×7inchと4×5inch のインターネガを作成してプリントしていた。これだけのサイズになると小さなテストプリントだけでは心配で、何度も部分を実寸で出していただきながら確認を続けた。テストピースとはいえ、全倍サイズを超えることもある。額装も大変だがプリントも実に大変である。この時のプリントは当時板橋にあった「ドイ・テクニカルフォト」で行っていて、現場に何度も通って打ち合わせや確認を繰り返していた。現在赤坂にあるPGL(フォトグラファーズ・ラボラトリー)はここの手焼き部門のスタッフが独立したプロラボである。

このサイズによる個展を5回も開催すると保管場所も大変である。現在は引き取らざるを得なくなり、近くのトランクルームを借りて置いている。個展を28回開催し、オリジナルの額も結構作っていて、それらの点数はかなりある。自宅やトランクルームにも保管できず、他の場所にも預かっていただいているのが現状である。

27日(日)から3月27日(日)まで、昨年8月に日本橋の小津ギャラリーで開催の「樹風」展の巡回展を伊勢和紙ギャラリーで開催する。小津ギャラリーでの伊勢和紙による写真展は、主宰しているフォトワークショップ「風」展との合同展で2回開催している。今回の伊勢和紙ギャラリーでの巡廻展もこの合同展だが、今回は年末に開催の「わの会」展で出品していた会員の伊勢和紙作品も展示する。

この会場は作品を展示できるエントランスやサブギャラリーもあり、小津ギャラリーよりも壁面が長い。今回の巡回展では、伊勢和紙Photo 雪色や芭蕉麻紙を使った860×2,000ミリの大型プリントを4点、手漉き伊勢和紙をメインにした額装作品を3点追加して展示する。全てハッセルブラッドによるフィルム撮影の作品である。伊勢和紙ギャラリーの展示パネルや照明は都内一流の会場と同様に質の高い設備だが、メインとサブギャラリー共に外光も生かしながら展示できる仕様になっている。時間や天候によって見え方、感じ方が違ってくる。今回も昨年同様に真冬の優しい日差しがどのような演出をしてくれるのか楽しみにしている。

伊勢和紙ギャラリー http://isewashi.co.jp/

2/27(日)と28日(月)は滞廊しています。是非お越し下さい。

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