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 No.563

三輪 薫(みわ かおる)


No.563 『創る』/写真展のプリントサイズと展示仕様 2011/9/1

写真は拡大して見るもので、プリントこそ最終作品であると考え、個展を主体に作品を発表している。現在日本橋の小津ギャラリーで開催中の個展は29回目で、フリーになって30年の間に個展を28回開催してきた。個展で展示のプリントは、とことん拘って制作している。特に自家処理する銀塩のファインプリントの場合は自分でも呆れるくらいの拘りで、10数時間掛けても1カットか2カット仕上げるのがやっとである。だから納得するまで繰り返し焼くにはサイズにも限界がある。ラボに発注するカラープリントとは違い、大きなサイズでは処理も大変で、心の何処かで妥協してしまいそうになるからだ。基本的な印画紙サイズは大四つ切りで、たまに半切や全紙を焼くくらいに止めている。

伊勢和紙のデジタルプリントも、銀塩プリント同様に拘りの出力をしている。A3ノビまでの自家処理では、半切の額装作品9点の内の6点は近年の個展で多用している重ね漉き和紙を使っている。今回は新たな要望を出し、2回重ねて漉いていただいた新作の和紙である。この要望も展示の絵柄に合わせた漉き方をしていただいた。他の3点も作品内容に合わせ、数多い伊勢和紙銘柄の中から何種類も試しプリントし、厳選して展示している。これもプリントへの拘りの一つである。

伊勢の中北喜得さんにお願いしている吊り仕様による大型プリントの3点も同様で、中北さんの拘りも何大抵ではない。機器やソフトもプロラボ並に充実させ、それらを使いこなす研究や研鑽は人並み外れていると思う。だからこそ、妥協しないレベルでプリント指示も安心してできる。その指示に見事に応えてくれるから嬉しい。

「風光」シリーズの最後の5回目の個展では、銀塩プリントと伊勢和紙のデジタルプリントを半々に展示していたが、四つ切り、大四つ切り、半切、全紙、全倍と四八判(1,100×2,400mm)の多様なサイズで33点展示した。この中で最も気に入っていたのは小さな銀塩プリントの四つ切り作品だった。個展のプリントサイズは大きいから良く、小さいから駄目というものではない。同一テーマの写真の個展作品は、会場に並べた全体で見るもので、流れを考えた展示構成と演出があり、表現目的によってはサイズを変えて展示することもある。作品内容と演出によっては同じサイズを淡々と並べる個展もいいものである。

現在日本橋の小津ギャラリーで開催中の僕の個展のプリントサイズは4種あり、額装作品は540mm×540mmの額を使っている。フォトワークショップ「風」展は550mm×550mmの白木の額で17点を一列に並べて展示している。真四角な額装作品はお洒落に見え、写真のタテとヨコも上手く収まってくれ、とても気に入っている。

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