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 No.576

三輪 薫(みわ かおる)


No.576 『写す』/銀塩写真の衰退 2012/1/20

今月5日に、『米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は4日、米写真用品大手イーストマン・コダックが数週間以内の連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請を準備していると報じた。』というニュースが飛び込んできた。もう、ビックリである。コダック社は、現在のカメラの主流であるデジタルカメラの開発にはいち早く取り組んでいて、今日のデジタル時代への対応も早いと信じていた。しかし、実際にはデジタル時代への対応が遅れ、業績が低迷し、天下のコダックがまさかこのような危機に陥るとは思っても見なかった。

デジタル関係では日本の企業の製品で不足を感じていないから問題はないが、コダックが業績不振で銀塩世界から撤退してしまったら大変である。近年、デジタル撮影が多くなっていても、フィルム撮影を止めたわけではないからである。また、フジクロームの愛用が増えているとはいえ、まだまだ主流はエクタクロームである。フジクロームとエクタクロームは別物で、フジクロームでエクタクロームの代用を期待できるものでもなく困ってしまう。同様にデジタル撮影で銀塩のフィルム撮影の代用が出来るとも思っていない。だからフィルムでも撮り続けている。

写真のフィルムは文化遺産であると思っている。だからこそ、コダック社が果たしてきた功績は大きく、一企業の業績悪化ということでは済ますことができないように思う。銀塩写真への期待とフィルムで撮る楽しみをもっている方には是非とも多くのフィルムを消費していただきたい。勿論、フジクロームも、各社の黒白フィルムも含めてである。

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