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 No.578

三輪 薫(みわ かおる)


No.578 『写す』/コダックフィルムへの憧れ-2 2012/2/10

名古屋で学んでいた頃のカラーリバーサルフィルムの現像方式はコダックと富士写真フイルムやコニカでは違っていた。何時の頃だったか富士写真フイルムやコニカのフィルムもコダックフィルムと同じ現像システムになった。富士写真フイルムやコニカが頑張っても、当時の世界を制覇しているコダック方式に合わせざるを得なかったのだろう。

30年ほど前にフリーとして活動を始めた頃には、コダックフィルムの銘柄はビックリするほど多かった。手元には24年前の1988年の資料しかないが、小型カメラの35ミリ判用のモノクロは8銘柄、ネガカラーは5銘柄、カラーリバーサルは何と16銘柄もあった。ちなみに富士写真フイルムのモノクロは4銘柄、ネガカラーは4銘柄、カラーリバーサルは6銘柄だった。1970年代の国産のカラーフィルムは、特にリバーサルフィルムはまだまだ過渡期で、退色も早かった気がする。しかし、1980年代になってかなりの進化を見せ始め、1980年代の終わり頃には発色も安定してきたように記憶している。

フリーになって日本の自然風景の撮影を少しずつだが始めた。メインフィルムはコダクロームに少しずつ移行してきた。一時期には撮影の大半をコダクローム64プロ/64(PKR/KR)・コダクローム25プロ/25(PKM/KM)で行うまでになっていた。このフィルムは現像方式が違い、色合いも深く、退色に強いタイプであり、コダックしか作っていないフィルムだった。一般的なカラーリバーサルフィルムにしても、僕の好みはコダックのエクタクロームで、自他共に認めるコダック派だった。数多い銘柄のフィルムを作画目的で選んで使い分けるのも「三輪薫流写真術」の1つだった。まだフィルム撮影全盛時代だった2001年に、当時銀座5丁目にあったキヤノンサロンで開催の「風色」展では26点展示したが、フィルムの銘柄は11もあり我ながら驚いたのを覚えている。コダックのフィルムは8銘柄あった。長年抱き続けてきたコダックフィルムへの憧れと期待感があってこそ実現した個展内容だったと思っている。

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